「女生徒たち、声を低くしとくれ」グラブリー‐プランク先生が厳きびしく注意し、小枝のような生き物に、玄米げんまいのようなものをひと握にぎり振りかけた。生き物がたちまち餌えさに食いついた。
「さてと――誰かこの生き物の名前を知ってるかい ミス・グレンジャー」
「ボウトラックルです」ハーマイオニーが答えた。「木の守番もりばんで、普通は杖つえに使う木に棲すんでいます」
「グリフィンドールに五点」グラブリー‐プランク先生が言った。「そうだよ。ボウトラックルだ。ミス・グレンジャーが答えたように、だいたいは杖つえ品ひん質しつの木に棲んでる。何を食べるか知ってる者は」
「ワラジムシ」ハーマイオニーが即座そくざに答えた。ハリーは玄米げんまいがモゾモゾ動くのが気になっていたが、これでわかった。「でも、手に入るなら妖よう精せいの卵たまごです」
「よくできた。もう五点。じゃから、ボウトラックルが棲む木の葉や木材が必要なときは、気を逸そらしたり喜ばせたりするために、ワラジムシを用意するほうがよい。見た目は危険じゃないが、怒ると指で人の目をくり貫ぬく。見てわかるように非常に鋭するどい指だから、目玉を近づけるのは感心しないね。さあ、こっちに集まって、ワラジムシを少しとボウトラックルを一匹ずつ取るんだ――三人に一匹はある――もっとよく観察かんさつできるだろう。授業が終るまでに一人一枚スケッチすること。体の部分に全部名めい称しょうを書き入れること」
クラス全員が一斉いっせいに架台かだいに近寄った。ハリーはわざとみんなの後ろに回り、グラブリー‐プランク先生のすぐそばに近寄った。
「ハグリッドはどこですか」
みんながボウトラックルを選んでいるうちに、ハリーが聞いた。
「気にするでない」
グラブリー‐プランク先生は押さえつけるような言い方をした。以前にハグリッドが授業に出てこなかったときも先生は同じ態度たいどだった。顎あごの尖とがった顔一いっ杯ぱいに薄うすら笑いを浮かべながら、ドラコ・マルフォイがハリーの前を遮さえぎるように屈かがんで、一番大きなボウトラックルをつかんだ。