「たぶん」マルフォイが、ハリーだけに聞こえるような低い声で言った。「あのウスノロのウドの大木は大おお怪け我がをしたんだ」
「黙だまらないと、おまえもそうなるぞ」ハリーも唇くちびるを動かさずに言った。
「たぶん、あいつにとって巨大すぎるものにちょっかいを出してるんだろ。言ってる意味がわかるかな」
マルフォイがその場を離はなれながら、振り返りざまにハリーを見てニヤリとした。ハリーは急に気分が悪くなった。マルフォイは何か知っているのか なにしろ父親が「死し喰くい人びと」だ。まだ騎き士し団だんの耳に届いていないハグリッドの情報を知っていたとしたら
ハリーは急いで架台のそばに戻り、ロンとハーマイオニーのところに行った。二人は少し離れた芝生しばふに座り込み、ボウトラックルをスケッチの間だけでも動かないようにしようと、なだめすかしていた。ハリーも羊よう皮ひ紙しと羽は根ねペンを取り出して二人のそばに屈み込み、小声でマルフォイがいま言ったことを話した。
「ハグリッドに何かあったら、ダンブルドアがわかるはずよ」ハーマイオニーが即座そくざに言った。「心配そうな顔をしたら、マルフォイの思うつぼよ。何が起こっているか私たちがはっきり知らないってあいつに知らせるようなものだわ。ハリー、無む視ししなきゃ。ほら、ボウトラックルをちょっと押さえてて。私が顔を描かく間……」
「そうなんだよ」マルフォイの気取った声が、一番近くのグループからはっきり聞こえてきた。「数日前に父上が大臣と話をしてねぇ。どうやら魔法省は、この学校の水すい準じゅん以下の教え方を打だ破はする決意を固めているようなんだ。だから育ちすぎのウスノロが帰ってきても、またすぐ荷物をまとめることになるだろうな」