ハリーは、ここに到とう着ちゃくした夜に目にした、あの不吉ふきつな、翼つばさの生はえた馬のことを考え、ルーナも見えると言ったことを思い出した。ハリーはちょっと気落ちした。ルーナはでまかせを言ったのだろうか ハリーがそんなことを考えていると、アーニー・マクミランが近づいてきた。
「言っておきたいんだけど」よく通る大きな声で、アーニーが言った。「君を支し持じしているのは変なのばかりじゃない。僕も君を百パーセント信じる。僕の家族はいつもダンブルドアを強く支持してきたし、僕もそうだ」
「え――ありがとう、アーニー」
ハリーは不ふ意いを衝つかれたが、うれしかった。アーニーはこんな場面で大げさに気取ることがあるが、それでもハリーは、耳から蕪をぶら下げていない人の信しん任にん票ひょうには心から感謝かんしゃした。アーニーの言葉で、ラベンダー・ブラウンの顔から確実に笑いが消えたし、ハリーがロンとハーマイオニーに話しかけようとしたときに、ちらりと目に入ったシェーマスの表情は、混乱こんらんしているようにも、抵抗ていこうしているようにも見えた。
誰もが予想したとおり、スプラウト先生はふくろうの大切さについての演説えんぜつで授業を始めた。どの先生もこぞって同じことをするのはいい加減かげんやめてほしいと、ハリーは思った。どんなに宿題が多いかを思い出すたび、ハリーは不安になり、胃袋が捩よじれるようになっていた。スプラウト先生が、授業の終りにまたレポートの宿題を出したとき、その気分は急きゅう激げきに悪化した。ぐったり疲れ、スプラウト先生お気に入りの肥ひ料りょう、ドラゴンの糞ふんの臭いをプンプンさせ、グリフィンドール生は、誰もが黙だまりこくって、ぞろぞろと城に戻って行った。また長い一日だった。
腹ぺこだったし、五時からアンブリッジ先生の最初の罰則ばっそくがあるので、ハリーはカバンを置きにグリフィンドール塔とうに戻るのをやめ、まっすぐ夕食に向かった。アンブリッジが何を目論もくろんでいるにせよ、それに向かう前に、急いで腹に何か詰つめ込こもうと思ったのだ。しかし、大広間の入口にたどり着くか着かないうちに、誰かが怒ど鳴なった。「おい、ポッター」
「こんどは何だよ」ハリーはうんざりして呟つぶやいた。振り向くとアンジェリーナ・ジョンソンが、ものすごい剣幕けんまくでやってくる。