「こんどは何だか、いま教えてあげるよ」足音も高くやってきて、アンジェリーナはハリーの胸をぐいっと指で押した。「金曜日の五時に罰則ばっそくを食らうなんて、どういうつもり」
「え」ハリーが言った。「なんで……ああ、そうか。キーパーの選抜せんばつ」
「この人、やっと思い出したようね」アンジェリーナが唸うなり声を上げた。「チーム全員に来てほしい、チームにうまくはまる選手を選びたいって、そう言っただろう わざわざそのためにクィディッチ競きょう技ぎ場じょうを予約したって言っただろう それなのに、君は来ないと決めたわけだ」
「僕が決めたんじゃない」理り不ふ尽じんな言い方が胸にちくりときた。「アンブリッジのやつに罰則を食らったんだ。『例のあの人』のことで本当のことを話したからっていう理由で」
「とにかく、まっすぐアンブリッジのところに行って、金曜日は自由にしてくれって頼むんだ」アンジェリーナが情け容赦ようしゃなく言った。「どんなやり方でもかまわない。『例のあの人』は自分の妄想もうそうでしたと言ったっていい。何がなんでも来るんだ」
アンジェリーナは嵐あらしのように去った。
「あのねえ」大広間に入りながら、ハリーがロンとハーマイオニーに言った。「パドルミア・ユナイテッドに連れん絡らくして、オリバー・ウッドが事故で死んでないかどうか調べたほうがいいな。アンジェリーナに魂たましいが乗り移ってるみたいだぜ」
「アンブリッジが金曜に君を自由にしてくれる確率かくりつはどうなんだい」
グリフィンドールのテーブルに座りながら、ロンが期待していないかのように聞いた。
「ゼロ以下」ハリーは子こ羊ひつじの骨つき肉を皿に取って、食べながら憂鬱ゆううつそうに言った。「でも、やってみたほうがいいだろうな。二回多く罰則を受けるからとかなんとか言ってさ……」ハリーは口一いっ杯ぱいのポテトを飲み込んでしゃべり続けた。「今晩こんばんあんまり遅おそくまで残らされないといいんだけど。ほら、レポート三つと、マクゴナガルの『消しょう失しつ呪じゅ文もん』の練習と、フリットウィックの反対呪文の宿題をやって、ボウトラックルのスケッチを仕上げて、それからトレローニーのあのアホらしい夢日記に取りかかるだろ」