「ねえ、グリフィンドールの新しいキーパーは決まったの」
「うん。僕の友達のロン・ウィーズリーだ。知ってる」
「トルネードーズ嫌いの」チョウがかなり冷ひややかに言った。「少しはできるの」
「うん」ハリーが答えた。「そうだと思う。でも、僕は選抜せんばつのとき見てなかったんだ。罰則ばっそくを受けてたから」
チョウは、小包をふくろうの脚に半分ほど括りつけたままで目を上げた。「あのアンブリッジって女、いやな人」チョウが低い声で言った。「あなたが本当のことを言ったというだけで罰則にするなんて。どんなふうに――どんなふうにあの人が死んだかを言っただけで。みんながその話を聞いたし、話は学校中に広がったわ。あの先生にあんなふうに立ち向かうなんて、あなたはとっても勇敢ゆうかんだったわ」
縮ちぢんでいた内臓ないぞうが、再び膨ふくらんできた。あまりに急速に膨らんだので、まるで糞ふんだらけの床から体が十センチくらい浮き上がったような気がした。空飛ぶ馬なんか、もうどうだっていい。チョウが僕をとっても勇敢だったと思ってる。小包をふくろうに括りつけるのを手伝って、「見せるつもりはなかったんだ」の雰ふん囲い気きでチョウに手の傷きずを見せようかと、ハリーは一いっ瞬しゅんそう思った……しかし、このドキドキする思いつきが浮かんだとたん、またふくろう小屋の戸が開いた。
管かん理り人にんのフィルチが、ゼイゼイ言いながら入ってきた。痩やせて静じょう脈みゃくが浮き出た頬ほおのあちこちが赤黒い斑まだらになり、顎あごは震ふるえ、薄うすい白しら髪が頭あたまを振り乱している。ここまで駆かけてきたに違いない。ミセス・ノリスがそのすぐ後ろからトコトコ走ってきて、ふくろうたちをじっと見上げ、腹がへったとばかりニャーと鳴いた。ふくろうたちは落ち着かない様子で羽を擦こすり合わせ、大きな茶モリフクロウが一羽、脅おどすように嘴くちばしをカチカチ鳴らした。
「アハーッ」フィルチは垂たれ下がった頬を怒りに震わせ、ドテドテと不ぶ格かっ好こうな歩き方でハリーのほうにやってきた。「おまえがクソ爆弾ばくだんをごっそり注文しようとしてると、垂たれ込こみがあったぞ」
ハリーは腕組みして管理人をじっと見た。
「僕がクソ爆弾を注文してるなんて、誰が言ったんだい」
チョウも顔をしかめて、ハリーからフィルチへと視線しせんを走らせた。チョウの腕に止まったふくろうが、片脚かたあし立ちに疲れて、催促さいそくするようにホーと鳴いたが、チョウは無む視しした。