「大だい丈じょう夫ぶか、ロン」ジョージがウィンクしながら言った。
「うん」ロンは競技場に近づくほど口数が少なくなっていた。
「俺おれたちに差さをつけてくれるんだろうな、監かん督とく生せいちゃん」
クィディッチ・ユニフォームの首から髪かみをくしゃくしゃにして頭を出しながら、悪戯いたずらっぽいニヤニヤ笑いを浮かべて、フレッドが言った。
「黙だまれ」
ロンは初めて自分のユニフォームを着ながらむすっとした顔で言った。肩幅かたはばがロンよりかなり広いオリバー・ウッドのユニフォームにしては、ロンにピッタリだった。
「さあ、みんな」着き替がえをすませたアンジェリーナがキャプテン室から出てきた。「始めよう。アリシアとフレッド、ボールの箱を持ってきてよ。ああ、それから、外で何人か見学しているけど、気にしないこと。いいね」
アンジェリーナは何気ない言い方をしたつもりだったろうが、ハリーは招まねかれざる見学者が誰なのかを察さっした。推察すいさつどおりだった。更衣室から競技場の眩まぶしい陽光ようこうの中に出て行くと、そこはスリザリンのクィディッチ・チームと取り巻き連中数人の野や次じと口笛くちぶえの嵐あらしだった。観かん客きゃく席せきの中間あたりの高さの席に陣取じんどって野次る声が、空からのスタジアムにワンワン反はん響きょうしていた。
「ウィーズリーが乗ってるのは、なんだい」マルフォイが気取った声で嘲あざけった。「あんな黴かびだらけの棒ぼうっ切れに飛行呪じゅ文もんをかけたやつは誰だい」
クラッブ、ゴイル、パンジー・パーキンソンが、ゲラゲラ、キャーキャー笑いこけた。ロンは箒ほうきに跨またがり、地面を蹴けった。ハリーも、ロンの耳が真まっ赤かになるのを見ながらあとを追った。
「ほっとけよ」スピードを上げてロンに追いついたハリーが言った。「あいつらと対戦たいせんしたあとで、どっちが最後に笑うかがはっきりする……」
「その態度たいどが正解だよ、ハリー」
クアッフルを小脇こわきに抱えて二人のそばに舞まい上がってきたアンジェリーナが、頷うなずきながら言った。アンジェリーナは速度を落とし、空中のチームを前にして静止した。
「オッケー、みんな。ウオーミングアップにパスから始めるよ。チーム全員で、いいね――」