「ヘーイ、ジョンソン。そのヘアスタイルはいったいどうしたの」パンジー・パーキンソンが下から金切かなきり声ごえで呼びかけた。「頭から虫が這はい出してるような髪をするなんて、そんな人の気が知れないわ」
アンジェリーナはドレッドヘアを顔から払い退のけ、落ち着きはらって言った。
「それじゃ、みんな、広がって。さあ、やってみよう……」
ハリーは他のチームメイトとは逆の方向に飛び、クィディッチ・ピッチの一番端に行った。ロンはその反対側のゴールに向かって下がった。アンジェリーナは片手かたてでクアッフルを上げ、フレッドに向かって投げつけた。フレッドはジョージに、ジョージはハリーにパスし、ハリーからロンにパスしたが、ロンはボールを取り落とした。
マルフォイの率ひきいるスリザリン生が、大声で笑ったり、甲高かんだかい笑い声を上げたりした。ロンはクアッフルが地面に落ちる前に捕つかまえようと、一直線にボールを追いかけたが、急きゅう降こう下かから体勢たいせいを立て直すときにもたついて、箒ほうきからズルリと横に滑すべってしまい、プレイする高さにまで飛び上がってきたときは顔が真まっ赤かだった。ハリーはフレッドとジョージが目を見み交かわすのを目もく撃げきしたが、いつもの二人に似に合あわず何も言わなかったので、ハリーはそのことに感謝かんしゃした。
「ロン、パスして」アンジェリーナが何事もなかったかのように呼びかけた。
ロンはクアッフルをアリシアにパスした。そこからハリーにボールが戻り、ジョージにパスされた。
「ヘーイ、ポッター、傷きずはどんな感じだい」マルフォイが声をかけた。「寝てなくてもいいのか 医い務む室しつに行かなくてすんだのは、これで、うん、まるまる一週間だ。記き録ろく的てきじゃないか」
ジョージがアンジェリーナにパスし、アンジェリーナはハリーにバックパスした。不ふ意いを衝つかれたハリーは、それでも指の先でキャッチし、すぐにロンにパスした。ロンは飛びついたが、数センチのところでミスした。
「何をやってるのよ、ロン」アンジェリーナが不ふ機き嫌げんな声を出した。ロンはまた急降下してクアッフルを追っていた。「ぼんやりしないで」
ロンが再びプレイする高さまで戻ってきたときには、ロンの顔とクアッフルとどちらが赤いか判定はんていが難しかった。マルフォイもスリザリン・チームもいまや大だい爆ばく笑しょうだった。
三度目でロンはクアッフルをキャッチした。それでほっとしたのか、こんどはパスに力が入りすぎ、クアッフルは両手を伸ばして受け止めようとしたケイティの手をまっすぐすり抜け、思いっ切り顔に当たった。
「ごめん」ロンが呻うめいて、怪我をさせはしなかったかとケイティのほうに飛び出した。
「ポジションに戻って そっちは大だい丈じょう夫ぶだから」アンジェリーナが大声を出した。「チームメイトにパスしてるんだから、箒から叩たたき落とすようなことはしないでよ。頼むから。そういうことはブラッジャーに任まかせるんだ」