「君たちはもう、授じゅ業ぎょう査さ察さつを受けたか」フレッドが聞いた。
「まだよ」ハーマイオニーがすぐに反応はんのうした。「受けたの」
「たったいま、昼食の前」ジョージが言った。「『呪じゅ文もん学がく』さ」
「どうだった」ハリーとハーマイオニーが同時に聞いた。
フレッドが肩をすくめた。
「大したことはなかった。アンブリッジが隅すみのほうでこそこそ、クリップボードにメモを取ってたな。フリットウィックのことだから、あいつを客きゃく扱あつかいして全然気にしてなかった。アンブリッジもあんまり何も言わなかったな。アリシアに二、三質問して、授業はいつもどんなふうかと聞いた。アリシアはとってもいいと答えた。それだけだ」
「フリットウィック爺じいさんが悪い点をもらうなんて考えられないよ」ジョージが言った。「生徒全員がちゃんと試験にパスするようにしてくれる先生だからな」
「午後は誰の授業だ」フレッドがハリーに聞いた。
「トレローニー――」
「そりゃ、紛まぎれもない『T』だな」
「――それに、アンブリッジ自身もだ」
「さあ、いい子にして、今日はアンブリッジに腹を立てるんじゃないぞ」ジョージが言った。
「君がまたクィディッチの練習に出られないとなったら、アンジェリーナがぶっち切れるからな」
「闇やみの魔ま術じゅつに対する防ぼう衛えい術じゅつ」のクラスを待つまでもなく、ハリーはアンブリッジに会うことになった。薄暗うすぐらい「占うらない学がく」の部屋の一番後ろで、ハリーが夢日記を引っ張り出していると、ロンが肘ひじでハリーの脇腹わきばらを突つついた。振り向くと、アンブリッジが床の撥はね戸から現れるところだった。ペチャクチャと楽しげだったクラスが、たちまちしーんとなった。突然騒音そうおんのレベルが下がったので、教科書の「夢のお告げ」を配りながら霞かすみのように教室を漂ただよっていたトレローニー先生が振り返った。