ディーン・トーマスに長々と質問したあと、アンブリッジ先生はグラブリー‐プランク先生のそばに戻って聞いた。「全体的に見て、あなたは、臨時りんじの教員として――つまり、客観的な部ぶ外がい者しゃと言えると思いますが――あなたはホグワーツをどう思いますか 学校の管かん理り職しょくからは十分な支援しえんを得ていると思いますか」
「ああ、ああ、ダンブルドアはすばらしい」グラブリー‐プランク先生は心からそう言った。
「そうさね。ここのやり方には満足だ。ほんとに大満足だね」
本当かしらという素そ振ぶりをちらりと見せながら、アンブリッジはクリップボードに少しだけ何か書いた。「それで、あなたはこのクラスで、今年何を教える予定ですか――もちろん、ハグリッド先生が戻らなかった、としてですが」
「ああ、ふくろうに出てきそうな生物をざっとね。あんまり残っていないがね――この子たちはもうユニコーンとニフラーを勉強したし。わたしゃ、ポーロックとニーズルをやろうと思ってるがね。それに、ほら、クラップとナールもちゃんとわかるように……」
「まあ、いずれにせよ、あなたは物がわかっているようね」
アンブリッジ先生はクリップボードにはっきり合格ごうかくとわかる丸印をつけた。あなたはと強調したのがハリーには気に入らなかったし、ゴイルに向かって聞いた次の質問はますます気に入らなかった。
「さて、このクラスで誰かが怪我をしたことがあったと聞きましたが」
ゴイルは間ま抜ぬけな笑いを浮かべた。マルフォイが質問に飛びついた。
「それは僕です。ヒッポグリフに切り裂さかれました」
「ヒッポグリフ」アンブリッジ先生の走り書きがこんどは慌あわただしくなった。
「それは、そいつがバカで、ハグリッドが言ったことをちゃんと聞いていなかったからだ」ハリーが怒って言った。
ロンとハーマイオニーが呻うめいた。アンブリッジ先生が、ゆっくりとハリーのほうに顔を向けた。
「もう一ひと晩ばん罰ばっ則そくのようね」アンブリッジ先生がゆっくりと言った。「さて、グラブリー‐プランク先生、ありがとうございました。ここはこれで十分です。査察ささつの結果は十日以内に受け取ることになります」
「はい、はい」グラブリー‐プランク先生はそう答え、アンブリッジ先生は芝生しばふを横切って城へと戻って行った。