二時限続きの「薬やく草そう学がく」に向かうのに、水浸みずびたしの野菜畑をピチャピチャ渡る生徒たちのローブが風に煽あおられてはためき、翻ひるがえった。雨音はまるで雹ひょうのように温室の屋根を打ち、スプラウト先生が何を言っているのかほとんど聞き取れない。午後の「魔ま法ほう生せい物ぶつ飼し育いく学がく」は嵐あらしが吹きすさぶ校庭ではなく、一階の空あいている教室に移されたし、アンジェリーナが昼食時に、チームの選手を探して回り、クィディッチの練習は取りやめだと伝えたので、選手たちは大いにほっとした。
「よかった」アンジェリーナにそれを聞かされたとき、ハリーが小声で言った。「場所を見つけたんだ。最初の『防ぼう衛えい術じゅつ』の会合かいごうは今夜八時、八階の『バカのバーナバス』がトロールに棍棒こんぼうで打たれている壁掛かべかけの向かい側。ケイティとアリシアに伝えてくれる」
アンジェリーナはちょっとどきりとしたようだったが、伝えると約束した。ハリーは食べかけのソーセージとマッシュポテトに戻って貪むさぼった。かぼちゃジュースを飲もうと顔を上げると、ハーマイオニーが見つめているのに気づいた。
「なン」ハリーがモゴモゴ聞いた。
「うーん……ちょっとね。ドビーの計画って、いつも安全だとはかぎらないし。憶おぼえていない ドビーのせいで、あなた、腕の骨が全部なくなっちゃったこと」
「この部屋はドビーの突とっ拍ぴょう子しもない考えじゃないんだ。ダンブルドアもこの部屋のことは知ってる。クリスマス・パーティのとき、話してくれたんだ」
ハーマイオニーの顔が晴れた。
「ダンブルドアが、そのことをあなたに話したのね」
「ちょっとついでにだったけど」ハリーは肩をすくめた。
「ああ、そうなの。なら大だい丈じょう夫ぶ」ハーマイオニーはきびきびそう言うと、あとは何も反対しなかった。
「ホッグズ・ヘッド」でリストにサインした仲間なかまたちを探し出し、その晩ばんどこで会合かいごうするかを伝えるのに、ロンも含ふくめた三人で、その日の大半たいはんを費やした。チョウ・チャンとその友達の女子生徒を探し出すのは、ジニーのほうが早かったので、ハリーはちょっとがっかりした。とにかく、夕食が終るころまでには、この知らせがホッグズ・ヘッドに集まった二十五人全員に伝わったと、ハリーは確信かくしんを持った。