「おい、ハリー、これは何だ」ディーンが部屋の奥のほうで「かくれん防ぼう止し器き」と「敵てき鏡かがみ」を指していた。
「闇やみの検けん知ち器きだよ」ハリーはクッションの間を歩いて道具のほうに行った。「基本的には、闇の魔法使いとか敵が近づくと、それを示してくれるんだけど、あまり頼っちゃいけない。道具が騙だまされることがある……」
ハリーはひび割れた「敵鏡」をちょっと見つめた。中に影のような姿が蠢うごめいていた。どの姿もはっきり何かはわからない。ハリーは鏡に背を向けた。
「えーと、僕、最初に僕たちがやらなければならないのは何かを、ずっと考えていたんだけど、それで――あ――」
ハリーは、手が挙あがっているのに気づいた。
「なんだい、ハーマイオニー」
「リーダーを選出すべきだと思います」ハーマイオニーが言った。
「ハリーがリーダーよ」
チョウがすかさず言った。ハーマイオニーを、どうかしているんじゃないのという目で見ている。
ハリーはまたまた胃袋がとんぼ返りした。
「そうよ。でも、ちゃんと投票すべきだと思うの」ハーマイオニーが怯ひるまず言った。「それで正式になるし、ハリーに権限けんげんが与えられるもの。じゃ――ハリーが私たちのリーダーになるべきだと思う人」
みんなが挙手きょしゅした。ザカリアス・スミスでさえ、不ふ承しょう不ぶ承しょうだったが手を挙あげた。
「えー――うん、ありがとう」ハリーは顔が熱くなるのを感じた。「それじゃ――なんだよ、ハーマイオニー」
「それと、名前をつけるべきだと思います」手を挙げたままで、ハーマイオニーが生き生きと答えた。「そうすれば、チームの団だん結けつ精せい神しんも揚あがるし、一いっ体たい感かんが高まると思わない」
「反アンブリッジ連れん盟めいってつけられない」アンジェリーナが期待を込めて発言した。
「じゃなきゃ、『魔法省はみんな間ま抜ぬけ』、はどうだ」フレッドが言った。
「私、考えてたんだけど」ハーマイオニーがフレッドを睨にらみながら言った。「どっちかっていうと、私たちの目的が誰にもわからないような名前よ。この集会の外でも安全に名前を呼べるように」
「防衛協会はディフェンス・アソシエーション」チョウが言った。「英語の頭かしら文字を取ってディーエー。それなら、私たちが何を話しているか、誰にもわからないでしょう」
「うん、っていうのはいいわね」ジニーが言った。「でも、ダンブルドア・アーミーの頭かしら文も字じ、ね。だって、魔法省が一番恐いのはダンブルドア軍団アーミーでしょ」
あちこちから、いいぞ、いいぞと呟つぶやく声や笑い声が上がった。
「に賛成の人」
ハーマイオニーが取り仕切り、クッションに膝立ひざだちになって数を数えた。
「大多数です――動議どうぎは可決かけつ」