「俺おれたちは見張られているんだ、ロン」ハグリッドがぶっきらぼうに言った。
「どういう意味」
「おまえさんにはわかってねえ」ハグリッドが言った。「魔法省はダンブルドアを見張っとる。それに、魔法省が、あの方かたと組んでるとみなした者全部をだ。そんで――」
「そのことは知ってるよ」話の先が聞きたくてうずうずし、ハリーが急いで言った。「魔法省がダンブルドアを見張ってることは、僕たち知ってるよ――」
「それで、そこに行くのに魔法が使えなかったんだね」ロンが雷かみなりに打たれたような顔をした。「マグルみたいに行動しなきゃならなかったの ずーっと」
「いいや、ずーっとちゅうわけではねえ」ハグリッドは言いたくなさそうだった。「ただ、気をつけにゃあならんかった。なんせ、オリンペと俺おれはちいっと目立つし――」
ロンは、鼻から息を吸うのか吐はくのか決めかねたような押し殺した音を出した。そして慌あわてて紅茶をゴクリと飲んだ。
「――そんで、俺たちは追跡ついせきされやすい。俺たちは一いっ緒しょに休きゅう暇かを過ごすふりをした。で、フランスに行った。魔法省の誰かに追つけられとるのはわかっとったんで、オリンペの学校のあたりを目指しているように見せかけた。ゆっくり行かにゃならんかった。なんせ俺は魔法を使っちゃいけねえことになっとるし、魔法省は俺たちを捕つかまえる口こう実じつを探していたからな。だが、追つけてるやつを、ディー・ジョンのあたりでなんとか撒まいた――」
「わぁぁぁー、ディジョン」ハーマイオニーが興こう奮ふんした。「バケーションで行ったことがあるわ。それじゃ、あれ見た――」
ロンの顔を見て、ハーマイオニーが黙だまった。
「そのあとは、俺たちも少しは魔法を使った。そんで、なかなかいい旅だった。ポーランドの国境で、狂ったトロール二匹に出っくわしたな。それからミンスクのパブで、俺は吸きゅう血けつ鬼きとちょいと言い争いをしたが、それ以外はまったくすいすいだった」
「で、その場所に到とう着ちゃくして、そんで、連中の姿を探して山ん中を歩き回った」
「連中の近くに着いてからは、魔法は一時お預あずけにした。一つには、連中は魔法使いが嫌いなんで、あんまり早くから下へ手たに刺激しげきするのはよくねえからな。もう一つには、ダンブルドアが、『例のあの人』もきっと巨人を探していると、俺たちに警告けいこくしなすったからだ。もうすでに巨人に使者ししゃを送っている可能性が高いと言いなすった。巨人の近くに行ったら、死し喰くい人びとがどこかにいるかもしれんから、俺たちのほうに注意を引かねえよう、くれぐれも気をつけろとおっしゃった」
ハグリッドは話を止め、ぐーっとひと息いきに紅茶を飲んだ。