マクゴナガル先生が真まに受けてくれたことでほっとしたハリーは、迷うことなくベッドから飛び降おり、ガウンを着て、メガネを鼻にぐいと押しつけた。
「ウィーズリー、あなたも一いっ緒しょに来るべきです」マクゴナガル先生が言った。
二人は先生のあとについて、押し黙だまっているネビル、ディーン、シェーマスの前を通り、寝室しんしつを出て、螺ら旋せん階かい段だんから談だん話わ室しつへ下りた。そして肖しょう像ぞう画がの穴をくぐり、月明かりに照らされた「太った婦人レディ」の廊下ろうかに出た。ハリーは体の中の恐きょう怖ふが、いまにも溢あふれ出しそうな気がした。駆かけ出して、大声でダンブルドアを呼びたかった。ウィーズリーおじさんは、こうして僕たちがゆるゆる歩いている間にも、血を流しているのだ。あの牙きばがハリーは必死で「自分の牙」とは考えないようにした毒を持っていたらどうしよう 三人はミセス・ノリスの前を通った。猫はランプのような目を三人に向け、微かすかにシャーッと鳴いたが、マクゴナガル先生が「シッ」と追うと、こそこそと物陰ものかげに隠れた。それから数分後、三人は校長室の入口を護衛ごえいする石のガーゴイル像の前に出た。
「フィフィ フィズビー」マクゴナガル先生が唱となえた。
ガーゴイル像に命が吹き込まれ、脇わきに飛び退のいた。その背後の壁かべが二つに割れ、石の階段が現れた。螺旋状のエスカレーターのように、上へ上へと動いている。三人が動く階段に乗ると、背後で壁が重々しく閉じ、三人は急な螺旋を描いて上へ上へと運ばれ、最後に磨みがき上げられた樫かしの扉とびらの前に到とう着ちゃくした。扉にはグリフィンの形をした真しん鍮ちゅうのドア・ノッカーがついている。
真夜中をとうに過ぎていたが、部屋の中からは、ガヤガヤ話す声がはっきりと聞こえた。ダンブルドアが少なくとも十数人の客をもてなしているような声だった。
マクゴナガル先生がグリフィンの形をしたノッカーで扉を三度叩たたいた。すると、突然、誰かがスイッチを切ったかのように話し声がやんだ。扉がひとりでに開き、マクゴナガル先生はハリーとロンを従えて中に入った。