「それで、ダンブルドア――モリーはどうしますか」マクゴナガル先生が扉の前で立ち止まって聞いた。
「それは、近づくものを見張る役目を終えた後のちの、フォークスの仕事じゃ」ダンブルドアが答えた。「しかし、もう知っておるかもしれん……あのすばらしい時計が……」
ダンブルドアは、時間ではなく、ウィーズリー家の一人ひとりがどこでどうしているかを知らせるあの時計のことを言っているのだと、ハリーにはわかった。ウィーズリーおじさんの針が、いまも「命が危ない」を指しているに違いないと思うと、ハリーは胸が痛んだ。しかし、もう真ま夜よ中なかだ。ウィーズリーおばさんはたぶん眠っていて、時計を見ていないだろう。まね妖怪ようかいがウィーズリーおじさんの死体に変身したのを見たときのおばさんのことを思い出すと、ハリーは体が凍こおるような気持だった。メガネがずれ、顔から血を流しているおじさんの姿だった……だけど、ウィーズリーおじさんは死ぬもんか……死ぬはずがない……。
ダンブルドアは、こんどはハリーとロンの背後にある戸棚とだなをゴソゴソ掻かき回していた。中から黒ずんだ古いヤカンを取り出し、机の上にそっと置くと、ダンブルドアは杖つえを上げて「ポータス」と唱となえた。ヤカンが一いっ瞬しゅん震ふるえ、奇き妙みょうな青い光を発した。そして震えが止まると、元どおりの黒さだった。
ダンブルドアはまた別な肖しょう像ぞう画がに歩み寄った。こんどは尖とがった山や羊ぎひげの、賢さかしそうな魔法使いだ。スリザリン・カラーの緑と銀のローブを着た姿に描かれた肖像画は、どうやらぐっすり眠っているらしく、ダンブルドアが声をかけても聞こえないようだった。
「フィニアス、フィニアス」
部屋に並んだ肖像画の主あるじたちは眠ったふりをやめ、状況をよく見ようと、それぞれの額がくの中でもぞもぞ動いていた。賢しそうな魔法使いがまだ狸たぬき寝ね入いりを続けているので、何人かが一いっ緒しょに大声で名前を呼んだ。
「フィニアス フィニアス フィニアス」
もはや眠ったふりはできなかった。芝居しばいがかった身み振ぶりでぎくりとし、その魔法使いは目を見開いた。
「誰か呼んだかね」
「フィニアス。あなたの別の肖像画を、もう一度訪たずねてほしいのじゃ」ダンブルドアが言った。「また伝言があるのでな」
「私の別な肖像画を」甲高かんだかい声でそう言うと、フィニアスはゆっくりと嘘うそ欠伸あくびをしたフィニアスの目が部屋をぐるりと見回し、ハリーのところで止まった。「いや、ご勘弁かんべん願いたいね、ダンブルドア、今夜はとても疲れている」
“到我的那幅画像中跑一趟?”菲尼亚斯尖声说,打了一个长长的哈欠(他的目光在屋里扫了一圈,落到哈利身上),“哦,不行,邓布利多,我今晚太累了——”