その魔法使いが額縁に潜もぐり込こみ姿を消したとたん、再び扉とびらが開き、フレッド、ジョージ、ジニーがマクゴナガル先生に導みちびかれて入ってきた。三人とも、ぼさぼさ頭にパジャマ姿で、ショックを受けていた。
「ハリー――いったいどうしたの」ジニーが恐きょう怖ふの面持おももちで聞いた。「マクゴナガル先生は、あなたが、パパの怪け我がするところを見たっておっしゃるの――」
「お父上は、『不ふ死し鳥ちょうの騎き士し団だん』の任務にんむ中に怪我をなさったのじゃ」ハリーが答えるより先に、ダンブルドアが言った。「お父上は、もう『聖せいマンゴ魔ま法ほう疾しっ患かん傷しょう害がい病びょう院いん』に運び込まれておる。きみたちをシリウスの家に送ることにした。病院へはそのほうが「隠かくれ穴あな」よりずっと便利じゃからの。お母上とは向こうで会える」
「どうやって行くんですか」フレッドも動揺どうようしていた。「煙突飛行粉フルーパウダーで」
「いや」ダンブルドアが言った。「煙突飛行粉は、現在、安全ではない。『煙突網もう』が見張られておる。移動ポートキーに乗るのじゃ」ダンブルドアは、何食わぬ顔で机に載のっているふるいヤカンを指した。「いまはフィニアス・ナイジェラスが戻って報告するのを待っているところじゃ……きみたちを送り出す前に、安全の確認かくにんをしておきたいのでな――」
一いっ瞬しゅん、部屋の真ん中に炎が燃え上がり、その場に一枚の金色こんじきの羽がひらひらと舞まい降おりた。
「フォークスの警告けいこくじゃ」ダンブルドアが空中で羽を捕つかまえながら言った。「アンブリッジ先生が、君たちがベッドを抜け出したことに気づいたに違いない……ミネルバ、行って足止めしてくだされ――適当てきとうな作り話でもして――」
マクゴナガル先生が、タータンを翻ひるがえして出て行った。
「あいつは、喜んで、と言っておりますぞ」ダンブルドアの背後で、気乗りしない声がした。フィニアスと呼ばれた魔法使いの姿がスリザリン寮りょう旗きの前に戻っていた。「私の曾ひ々ひ孫まごは、家に迎むかえる客に関して、昔からおかしな趣味しゅみを持っていた」
「さあ、ここに来るのじゃ」ダンブルドアがハリーとウィーズリーたちを呼んだ。「急いで。邪魔じゃまが入らぬうちに」
ハリーもウィーズリー兄弟妹きょうだいも、ダンブルドアの机の周りに集まった。
「移動ポートキーは使ったことがあるじゃろな」ダンブルドアの問いにみんなが頷うなずき、手を出して黒ずんだヤカンに触ふれた。「よかろう。では、三つ数えて……一……二……」