「それで、パパ、何があったのか、教えてくれる」フレッドが椅子を引いてベッドに近寄った。
「いや、もう知ってるんだろう」ウィーズリーおじさんは、ハリーのほうに意味ありげに微笑ほほえみながら言った。「ごく単たん純じゅんだ――長い一日だったし、居眠いねむりをして、忍び寄られて、噛かまれた」
「パパが襲おそわれたこと、『予よ言げん者しゃ』に載のってるの」フレッドが、ウィーズリーおじさんが脇わきに置いた新聞を指した。
「いや、もちろん載っていない」おじさんは少し苦笑にがわらいした。「魔法省は、みんなに知られたくないだろうよ。とてつもない大蛇おおへびが狙ねらったのは――」
「アーサー」おばさんが警告けいこくするように呼びかけた。
「狙ったのは――えー――私だったと」ウィーズリーおじさんは慌あわてて取り繕つくろったが、ハリーは、おじさんが絶対に別のことを言うつもりだったと思った。
「それで、襲われたとき、パパ、どこにいたの」ジョージが聞いた。
「おまえには関係のないことだ」おじさんはそう言い放はなったが、微笑んでいた。おじさんは「日刊予言者新聞」をまた急に拾ひろい上げ、パッと振って開いた。「みんなが来たとき、ちょうど『ウィリー・ウィダーシン逮捕たいほ』の記事を読んでいたんだ。この夏の例の逆ぎゃく流りゅうトイレ事件じけんを覚えているね ウィリーがその陰かげの人物だったんだよ。最後に呪のろいが逆ぎゃく噴ふん射しゃして、トイレが爆発ばくはつし、やっこさん、瓦礫がれきの中に気を失って倒れているところを見つかったんだが、頭のてっぺんから爪先つまさきまで、そりゃ、クソまみれ――」
「パパが『任務にんむ中』だったっていうときは」フレッドが低い声で口を挟はさんだ。「何をしていたの」
「お父さまのおっしゃったことが聞こえたでしょう」ウィーズリーおばさんが囁ささやいた。
「ここはそんなことを話すところじゃありません あなた、ウィリー・ウィダーシンの話を続けて」
「それでだ、どうやってやったのかはわからんが、やつはこのトイレ事件では罪つみに問われなかったんだ」ウィーズリーおじさんが不ふ機き嫌げんに言った。「金貨が動いたんだろうな――」
「パパは護衛ごえいしてたんでしょう」ジョージがひっそりと言った。「武器だよね 『例のあの人』が探してるっていうやつ」
「ジョージ、お黙だまり」おばさんがビシッと言った。