「あなた、お加減かげんはいかが」みんなが挨あい拶さつし終り、プレゼントを渡してから、おばさんが聞いた。
「ああ、とてもいい」ウィーズリーおじさんの返事は、少し元気がよすぎた。「母さん――その――スメスウィック癒い師しには会わなかっただろうね」
「いいえ」おばさんが疑わしげに答えた。「どうして」
「いや、別に」おじさんはプレゼントの包みを解ほどきはじめながら、何でもなさそうに答えた。
「みんな、いいクリスマスだったかい プレゼントは何をもらったのかね ああ、ハリー――こりゃ、すばらしい」おじさんはハリーからのプレゼントを開けたところだった。ヒューズの銅線どうせんと、ネジ回しだった。
ウィーズリーおばさんは、おじさんの答えではまだ完全に納得なっとくしていなかった。夫がハリーと握手あくしゅしようと屈かがんだとき、寝ね巻まきの下の包帯ほうたいをちらりと見た。
「あなた」おばさんの声が、ネズミ捕とりのようにピシャッと響ひびいた。「包帯を換かえましたね。アーサー、一日早く換えたのはどうしてなの 明日までは換える必要がないって聞いていましたよ」
「えっ」ウィーズリーおじさんは、かなりドキッとした様子で、ベッドカバーを胸まで引ひっ張ぱり上げた。「いや、その――なんでもない――ただ――私は――」
ウィーズリーおじさんは、射いすくめるようなおばさんの目に会って、萎しぼんでいくように見えた。
「いや――モリー、心配しないでくれ。オーガスタス・パイがちょっと思いついてね……ほら、研けん修しゅう癒いの、気持のいい若者だがね。それが大変興きょう味みを持っているのが――ンー……補ほ助じょ医い療りょうでね――つまり、旧きゅう来らいのマグル療りょう法ほうなんだが……そのなんだ、縫合ほうごうと呼ばれているものでね、モリー。これが非常に効果こうかがあるんだよ――マグルの傷きずには――」
ウィーズリーおばさんが不吉ふきつな声を出した。悲鳴ひめいとも唸うなり声ともつかない声だ。ルーピンは見み舞まい客が誰もいなくて、ウィーズリーおじさんの周りにいる大勢の見舞い客を羨うらやましそうに眺ながめていた狼おおかみ男おとこのほうにゆっくり歩いて行った。ビルはお茶を飲みに行ってくるとかなんとか呟つぶやき、フレッドとジョージは、すぐに立ち上がって、ニヤニヤしながらビルについて行った。