ハリーの疑問に対する答えは、早速さっそく次の日に出た。配達はいたつされた「日にっ刊かん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん」を広げて一面を見ていたハーマイオニーが、急に悲鳴ひめいを上げ、周りのみんなが何事かと振り返って見つめた。
「どうした」ハリーとロンが同時に聞いた。
答えの代わりに、ハーマイオニーは新聞を二人の前のテーブルに広げ、一面べったりに載のっている十枚の白黒写真を指差した。魔法使い九人と十人目は魔女だ。何人かは黙だまって嘲あざけり笑いを浮かべ、他は傲慢ごうまんな表情で、写真の枠わくを指でトントン叩たたいている。一枚一枚に名前とアズカバン送りになった罪名ざいめいが書いてあった。
アントニン・ドロホフ 面長おもながで捻ねじ曲がった顔の、青白い魔法使いの名前だ。ハリーを見上げて嘲笑あざわらっている。ギデオンならびにフェービアン・プルウェットを惨殺ざんさつした罪、と書いてある。
オーガスタス・ルックウッド 痘痕あばた面づらの脂あぶらっこい髪かみの魔法使いは、退屈たいくつそうに写真の縁ふちに寄より掛かかっている。魔法省の秘ひ密みつを「名前を呼んではいけないあの人」に漏洩ろうえいした罪、とある。
ハリーの目は、それよりも、ただ一人の魔女に引きつけられていた。一面を覗のぞいたとたん、その魔女の顔が目に飛び込んできたのだ。写真では、長い黒髪に櫛くしも入れず、ばらばらに広がっていたが、ハリーはそれが滑なめらかで、ふさふさと輝かがやいているのを見たことがあった。写真の魔女は、腫はれぼったい瞼まぶたの下からハリーをぎろりと睨にらんだ。唇くちびるの薄うすい口元に、人を軽蔑けいべつしたような尊大そんだいな笑いを漂ただよわせている。シリウスと同様、この魔女も、すばらしく整っていたであろう昔の顔立ちの名残なごりを留めていた。しかし、何かが――おそらくアズカバンが――その美しさのほとんどを奪うばい去っていた。
ベラトリックス・レストレンジ フランクならびにアリス・ロングボトムを拷問ごうもんし、廃人はいじんにした罪
ハーマイオニーはハリーを肘ひじで突つつき、写真の上の大見出しを指した。ハリーはベラトリックスにばかり気を取られ、まだそれを読んでいなかった。
アズカバンから集団脱獄だつごく
魔法省の危き惧ぐ――かつての死し喰くい人びと、ブラックを旗はた頭がしらに結集か
「ブラックが」ハリーが大声を出した。「まさかシリ――」
「シィーッ」ハーマイオニーが慌あわてて囁ささやいた。「そんなに大きな声出さないで――黙だまって読んで」
“布莱克?”哈利大声说,“不是——?”