ハリーをインタビューしたリータの記事が、いつ「ザ・クィブラー」に載のるかはわからないと、ルーナは漠然ばくぜんと言った。パパは、「しわしわ角づのスノーカック」を最近目もく撃げきしたという素敵すてきに長い記事が寄稿きこうされるのを待っているから、と言うのだ。「――もちろん、それって、とっても大切な記事だもン。だから、ハリーのは次の号まで待たなきゃいけないかも」
ヴォルデモートが復活した夜のことを語るのは、ハリーにとって生なまやさしいことではなかった。リータは事細ことこまかに聞き出そうとハリーに迫せまったし、ハリーも、真実を世に知らせるまたとないチャンスだという意識で、思い出せるかぎりのすべてをリータに話した。果たしてどんな反応はんのうが返ってくるだろうと、ハリーは考えた。多くの人が、ハリーは完全に狂っているという見方を再確認かくにんするだろう。なにしろハリーの話は、愚ぐにもつかない「しわしわ角スノーカック」の話と並んで掲載けいさいされるのだ。しかし、ベラトリックス・レストレンジと仲間なかまの死し喰くい人びとたちが脱走だっそうしたことで、ハリーは、うまくいくいかないは別として、とにかく何かをしたいという、燃えるような想おもいに駆かられていた。
「君の話がおおっぴらになったら、アンブリッジがどう思うか、楽しみだ」月曜の夕食の席で、ディーンが感服かんぷくしたように言った。シェーマスはディーンの向かい側で、チキンとハムのパイをごっそり掻かき込こんでいた。しかしハリーには、話を聞いていることがわかっていた。
「いいことをしたね、ハリー」テーブルの反対側に座っていたネビルが言った。かなり蒼あおざめていたが、低い声で言葉を続けた。「きっと……辛つらかっただろう……それを話すのって……」
「うん」ハリーがぼそりと言った。「でも、ヴォルデモートが何をやってのけるのか、みんなが知らないといけないんだ。そうだろう」
「そうだよ」ネビルがこっくりした。「それと、死喰い人のことも……みんな、知るべきなんだ……」ネビルは中ちゅう途と半はん端ぱに言葉をとぎらせ、再び焼きジャガイモを食べはじめた。シェーマスが目を上げたが、ハリーと目が合うと、慌あわてて自分の皿に視線しせんを戻した。しばらくして、ディーン、シェーマス、ネビルが談だん話わ室しつに向かい、ハリーとハーマイオニーだけがテーブルに残ってロンを待った。クィディッチの練習で、ロンはまだ夕食をとっていなかった。