チョウ・チャンが友達のマリエッタと大広間に入ってきた。ハリーの胃がぐらっと気持の悪い揺ゆれ方をした。しかし、チョウはグリフィンドールのテーブルには目もくれず、ハリーに背を向けて席に着いた。
「あ、聞くのを忘れてたわ」ハーマイオニーがレイブンクローのテーブルをちらりと見ながら、朗ほがらかに聞いた。「チョウとのデートはどうだったの どうしてあんなに早く来たの」
「んー……それは……」ハリーはルバーブ・クランブルのデザート皿を引き寄せ、お代わりを自分の皿に取り分けながら言った。「めっちゃくちゃさ。聞かれたから言うだけだけど」ハリーは、マダム・パディフットの喫きっ茶さ店てんで起こったことを、ハーマイオニーに話して聞かせた。
「……というわけで」数分後にハリーは話し終り、ルバーブ・クランブルの最後の一口も食べ終った。「チョウは急に立ち上がって、そう、こう言うんだ。『ハリー、じゃ、さよなら』。それで走って出て行ったのさ」ハリーはスプーンを置き、ハーマイオニーを見た。「つまり、いったいあれは何だったんだ 何が起こったって言うんだ」
ハーマイオニーはチョウの後ろ姿をちらりと見て、ため息をついた。
「ハリーったら」ハーマイオニーは悲しげに言った。「言いたくはないけど、あなた、ちょっと無む神しん経けいだったわ」
「僕が 無神経」ハリーは憤慨ふんがいした。「二人でうまくいってるなと思ったら、次の瞬しゅん間かん、チョウはロジャー・デイビースがデートに誘さそったの、セドリックとあのバカバカしい喫きっ茶さ店てんに来ていちゃいちゃしたのって、僕に言うんだぜ――いったい僕にどう思えって言うんだ」
「あのねえ」ハーマイオニーは、まるで駄だ々だをこねるよちよち歩きの子供に、だということを言い聞かせるように、辛抱しんぼう強く言った。「デートの途と中ちゅうで私に会いたいなんて、言うべきじゃなかったのよ」
「だって、だって」ハリーが急せき込こんで言った。「だって――十二時に来いって、それにチョウも連れてこいって君がそう言ったんだ。チョウに話さなきゃ、そうできないじゃないか」
「言い方がまずかったのよ」ハーマイオニーは、また癪しゃくに障さわるほどの辛抱強さで言った。「こう言うべきだったわ。――本当に困るんだけど、ハーマイオニーに『三本の箒ほうき』に来るように約束させられた。本当は行きたくない。できることなら一日中チョウと一いっ緒しょにいたい。だけど、残念ながらあいつに会わないといけないと思う。どうぞ、お願いだから、僕と一緒に来てくれ。そうすれば、僕はもっと早くその場を離はなれることができるかもしれない。――それに、私のことをとってもブスだ、とか言ったらよかったかもしれないわね」
最後の言葉を、ハーマイオニーはふと思いついたようにつけ加えた。
「だけど、僕、君がブスだなんて思ってないよ」ハリーが不ふ思し議ぎそうな顔をした。
ハーマイオニーが笑った。