「ハリー、あなたったら、ロンよりひどいわね……おっと、そうでもないか」ハーマイオニーがため息をついた。ロンが泥どろだらけで、不ふ機き嫌げんな顔をぶら下げて、大広間にドスドスと入ってきたところだった。「あのね――あなたが私に会いに行くって言ったから、チョウは気を悪くしたのよ。だから、あなたにやきもちを焼かせようとしたの。あなたがどのぐらいチョウのことを好きなのか、彼女なりのやり方で試ためそうとしたのよ」
「チョウは、そういうことをやってたわけ」ハリーが言った。ロンは二人に向き合う場所にドサッと座り、手当たりしだい食べ物の皿を引き寄せていた。「それなら、僕が君よりチョウのほうが好きかって聞いたほうが、ずっと簡単じゃない」
「女の子は、だいたい、そんな物の聞き方はしないものよ」ハーマイオニーが言った。
「でも、そうすべきだ」ハリーの言葉に力が入った。「そうすりゃ、僕、チョウが好きだって、ちゃんと言えたじゃないか。そうすれば、チョウだって、セドリックが死んだことをまた持ち出して、大騒ぎしたりする必要はなかったのに」
「チョウがやったことが思し慮りょ深ぶかかったとは言ってないのよ」ハーマイオニーが言った。ちょうど、ジニーが、ロンと同じように泥どろんこで、同じようにぶすっとして席に着いたところだった。「ただ、そのときの彼女の気持を、あなたに説明しようとしているだけ」
「君、本を書くべきだよ」ロンがポテトを切り刻きざみながら、ハーマイオニーに言った。「女の子の奇怪きっかいな行動についての解かい釈しゃくをさ。男子が理解できるように」
「そうだよ」ハリーがレイブンクローのテーブルに目をやりながら、熱を込めて言った。チョウが立ち上がったところだった。そして、ハリーのほうを見向きもせずに、大広間を出て行った。なんだかがっかりして、ハリーはロンとジニーに向き直った。
「それで、クィディッチの練習はどうだった」
「悪夢だったさ」ロンは気が立っていた。
「やめてよ」ハーマイオニーがジニーを見ながら言った。「まさか、それほど――」
「それほどだったのよ」ジニーが言った。「ぞっとするわ。アンジェリーナなんか、しまいには泣きそうだった」