月曜の朝、朝食をとりに大広間に入ると同時にふくろう便びんも到とう着ちゃくした。「日にっ刊かん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん」を待っていたのは、ハーマイオニーだけではない。ほとんど全員が、脱獄だつごくした死し喰くい人びとの新しいニュースを待ち望んでいた。目もく撃げきしたという知らせが多いにもかかわらず、誰もまだ捕つかまってはいなかった。ハーマイオニーは配達はいたつふくろうに一クヌート支払い、急いで新聞を広げた。ハリーはオレンジジュースに手を伸ばした。この一年間、ハリーはたった一度メモを受け取った切りだったので、目の前にふくろうが一羽バサッと降おり立ったとき、間違えたのだろうと思った。
「誰を探してるんだい」ハリーは、嘴くちばしの下から面めん倒どう臭くさそうにオレンジジュースを退どけ、受取人の名前と住所を覗のぞき込こんだ。
ハリーは、顔をしかめてふくろうから手紙を取ろうとした。しかし、その前に、三羽、四羽、五羽と、最初のふくろうの脇わきに別のふくろうが次々と降り立ち、バターを踏ふみつけるやら、塩をひっくり返すやら、自分が一番乗りで郵便ゆうびんを届けようと、押し合いへし合いの場所取り合戦がっせんを繰くり広げた。
「何事なにごとだ」ロンが仰ぎょう天てんした。グリフィンドールのテーブルの全員が、身を乗り出して見物する中、最初のふくろう群ぐんの真っただ中に、さらに七羽ものふくろうが着ちゃく地ちし、ギーギー、ホーホー、パタパタと騒いだ。
「ハリー」ハーマイオニーが羽毛うもうの群れの中に両手を突つっ込こみ、長い円えん筒とう形けいの包みを持ったコノハズクを引ひっ張ぱり出し、息を弾はずませた。「私、なんだかわかったわ――これを最初に開けて」
ハリーは茶色の包み紙を破り取った。中から、きっちり丸めた「ザ・クィブラー」の三月号が転がり出た。広げてみると、表紙から自分の顔が、気き恥はずかしげにニヤッと笑いかけた。その写真を横切って、真まっ赤かな大きな字でこう書いてある。
ハリー・ポッターついに語る
「名前を呼んではいけないあの人」の真相しんそう――僕がその人の復活を見た夜
「いいでしょう」いつの間にかグリフィンドールのテーブルにやって来て、フレッドとロンの間に割り込んで座っていたルーナが言った。「昨日きのう出たんだよ。パパに一部無む料りょうであんたに送るように頼んだんだもン。きっと、これ」ルーナは、ハリーの前でまだ揉もみ合っているふくろうの群れに手を振った。「読者からの手紙だよ」
「そうだと思ったわ」ハーマイオニーが夢中で言った。「ハリー、かまわないかしら 私たちで――」
「自由に開けてよ」ハリーは少し困惑こんわくしていた。
ロンとハーマイオニーが封筒をビリビリ開けはじめた。