「でも、今夜会合がありました」アンブリッジが激怒げきどした。「会合はあったのです。ミス・エッジコム、あなたがわたくしにそう言いました。『必要ひつようの部へ屋や』でと そして、ポッターが首しゅ謀ぼう者しゃだった。そうでしょう ポッターが組織した。ポッターが――どうして、あなた、首を横に振ってるの」
「まあ、通常ですと、首を横に振るときは」マクゴナガルが冷たく言った。「『いいえ』という意味です。ですから、ミス・エッジコムが、まだヒトの知らない使い方で合図を送っているのでなければ――」
アンブリッジ先生はマリエッタをつかみ、ぐるりと回して自分のほうに向かせ、激はげしく揺ゆすぶりはじめた。間髪かんはつを入れず立ち上がったダンブルドアが、杖つえを上げた。キングズリーがずいと進み出た。アンブリッジは、まるで火傷やけどをしたかのように両手をぷるぷる振りながら、マリエッタから飛び退のいた。
「ドローレス、わしの生徒たちに手荒てあらなことは許さぬ」ダンブルドアはこのとき初めて怒っているように見えた。
「マダム・アンブリッジ、落ち着いてください」キングズリーがゆったりした深い声で言った。「面倒を起こさないほうがいいでしょう」
「いいえ」アンブリッジは聳そびえるようなキングズリーの姿をちらりと見上げながら、息を弾はずませて言った。「つまり、ええそう――あなたの言うとおりだわ、シャックルボルト――わたし――わたくし、つい我を忘れて」
マリエッタは、アンブリッジが手を離はなしたその位置で、そのまま突っ立っていた。突然アンブリッジにつかみかかられても動揺どうようした様子はなく、放はなされてほっとした様子もない。奇き妙みょうに虚うつろな目のところまでローブを引き上げたまま、まっすぐ前を見つめていた。
突然、ハリーはもしやと思った。キングズリーの囁ささやきと、脇腹わきばらを掠かすめた感覚とに結びつく疑いだった。