「ダンブルドアが魔法省に対たい抗こうする軍団ぐんだんを作り上げようとしていた件くだりは 私を失しっ脚きゃくさせようと画策かくさくしていた件くだりは」
「はい、閣下。書き取りましたとも」嬉き々きとしてメモに目を通しながら、パーシーが答えた。
「よろしい、では」ファッジはいまや、歓喜かんきに顔を輝かがやかせている。「ウィーズリー、メモを複写ふくしゃして、一部を即刻そっこく、『日にっ刊かん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん』に送れ。ふくろう速そく達たつ便びんを使えば、朝刊に間に合うはずだ」パーシーは脱兎だっとのごとく部屋を飛び出し、扉とびらをバタンと閉めた。ファッジがダンブルドアのほうに向き直った。「おまえをこれから魔法省に連行する。そこで正式に起き訴そされ、アズカバンに送られ、そこで裁判さいばんを待つことになる」
「ああ」ダンブルドアが穏おだやかに言った。「やはりのう。その障しょう害がいに突き当たると思うておったが」
「障害」ファッジの声はまだ喜びに震ふるえていた。「ダンブルドア、私には何の障害も見えんぞ」
「ところが」ダンブルドアが申し訳なさそうに言った。「わしには見えるのう」
「ほう、そうかね」
「さて――あなたはどうやら、わしが――どういう表現じゃったかの――神しん妙みょうにする、という幻想げんそうのもとに骨を折っているようじゃ。残念ながら、コーネリウス、わしは神妙に引かれては行かんよ。アズカバンに送られるつもりはまったくないのでな。もちろん、脱獄だつごくはできるじゃろうが――それはまったくの時間の無む駄だというものじゃ。正直言って、わしにはほかにいろいろやりたいことがあるのでな」
アンブリッジの顔が、着ちゃく実じつにだんだん赤くなってきた。まるで、体の中に、熱湯ねっとうが注がれていくようだった。ファッジは間ま抜ぬけ面づらでダンブルドアを見つめていた。まるで、突然パンチを食らったのに、それが信じられないという顔だ。息が詰つまったような音を出し、ファッジはキングズリーを振り返った。それから、これまでただ一人、ずっと黙だまりこくっていた、短い白しら髪が頭あたまの男を振り返った。その男は、ファッジに大丈夫というように頷うなずき、壁かべから離はなれてわずかに前に出た。ハリーは、その男の手が、ほとんど何気ない様子でポケットのほうに動くのを見た。