「気がついたか」フレッドの声がした。ジョージと二人、大だい理り石せきの階段を下りてきて、ハリー、ロン、ハーマイオニー、アーニーの四人と砂時計の前で一いっ緒しょになった。
「マルフォイが、いま僕たちからほとんど五十点も減点したんだ」グリフィンドールの砂時計から、また石が数個上に戻るのを見ながら、ハリーが憤慨ふんがいした。
「うん。モンタギューのやつ、休み時間に、俺おれたちからも減点しようとしやがった」
ジョージが言った。
「『しようとした』って、どういうこと」ロンが素早すばやく聞いた。
「最後まで言い終らなかったのさ」フレッドが言った。「俺たちが、二階の『姿すがたをくらます飾かざり棚だな』に頭から突っ込んでやったんでね」
ハーマイオニーがショックを受けた顔をした。
「そんな、あなたたち、とんでもないことになるわ」
「モンタギューが現れるまでは大だい丈じょう夫ぶさ。それまで数週間かかるかもな。やつをどこに送っちまったのかわかんねえし」フレッドがさばさばと言った。「とにかくだ……俺おれたちは、問題に巻き込まれることなどもう気にしない、と決めた」
「気にしたことあるの」ハーマイオニーが聞いた。
「そりゃ、あるさ」ジョージが答えた。「一度も退学になってないだろ」
「俺たちは、常に一線を守った」フレッドが言った。
「ときには、爪先つまさきぐらいは線を越えたかもしれないが」ジョージが言った。
「だけど、常に、本当の大だい混こん乱らんを起こす手前で踏ふみ止とどまったのだ」フレッドが言った。
「だけど、いまは」ロンが恐る恐る聞いた。
「そう、いまは――」ジョージが言った。
「――ダンブルドアもいなくなったし――」フレッドが言った。
「――ちょっとした大混乱こそ――」ジョージが言った。
「――まさに、親愛しんあいなる新校長にふさわしい」フレッドが言った。
「ダメよ」ハーマイオニーが囁ささやくように言った。「ほんとに、ダメ あの人、あなたたちを追い出す口こう実じつなら大喜びだわよ」
「わかってないなあ、ハーマイオニー」フレッドがハーマイオニーに笑いかけた。「俺たちはもう、ここにいられるかどうかなんて気にしないんだ。いますぐにでも出て行きたいところだけど、ダンブルドアのためにまず俺たちの役目を果たす決意なんでね。そこで、とにかく」フレッドが腕時計を確かめた。「第だい一いち幕まくがまもなく始まる。悪いことは言わないから、昼食を食べに大広間に入ったほうがいいぜ。そうすりゃ、先生方も、おまえたちは無関係だとわかるからな」
「何に無関係なの」ハーマイオニーが心配そうに聞いた。
「いまにわかる」ジョージが言った。「さ、早く行けよ」