「一いっ緒しょに飲んでほしいの」アンブリッジの声が危険な甘ったるさに変わった。「どれか選びなさい」
「それじゃ……紅茶を」ハリーは肩をすくめながら言った。
アンブリッジは立ち上がってハリーに背を向け、大げさな身み振ぶりで紅茶にミルクを入れた。それから不吉ふきつに甘い微び笑しょうを湛たたえ、カップを持ってせかせかと机を回り込んでやって来た。
「どうぞ」と紅茶をハリーに渡した。「冷さめないうちに飲んでね。さーてと、ミスター・ポッター……昨夜の残念な事件のあとですから、ちょっとおしゃべりでもどうかと思ったのよ」
ハリーは黙だまっていた。アンブリッジは自分の椅子に戻り、答えを待った。沈ちん黙もくの数分が長く感じられた。やがてアンブリッジが陽気ようきに言った。「飲んでないじゃないの」
ハリーは急いでカップを口元に持っていったが、また急に下ろした。アンブリッジの背後にある、趣味しゅみの悪い絵に描かれた子猫の一匹が、マッド‐アイ・ムーディの魔法の目と同じ丸い大きな青い目をしていたので、敵とわかっている相手に勧すすめられた飲み物をハリーが飲んだと聞いたら、マッド‐アイが何と言うだろうと思ったのだ。
「どうかした」アンブリッジはまだハリーを見ていた。「お砂糖さとうがほしいの」
「いいえ」ハリーはもう一度口元までカップを持っていき、一口飲むふりをしたが、唇くちびるを固く結んだままだった。アンブリッジの口がますます横に広がった。
「そうそう」アンブリッジが囁ささやくように言った。「それでいいわ。さて、それじゃ……」アンブリッジが少し身を乗り出した。「アルバス・ダンブルドアはどこなの」
「知りません」ハリーが即座そくざに答えた。
「さあ、飲んで、飲んで」アンブリッジはニターッと微笑ほほえんだままだ。「さあ、ミスター・ポッター、子供だましのゲームはやめましょうね。ダンブルドアがどこに行ったのか、あなたが知っていることはわかっているのよ。あなたとダンブルドアは、初めから一いっ緒しょにこれを企たくらんでいたんだから。自分の立場を考えなさい。ミスター・ポッター……」
「どこにいるか、僕、知りません」ハリーはもう一度飲むふりをした。
「結構けっこう」アンブリッジは不ふ機き嫌げんな顔をした。「それなら、教えていただきましょうか。シリウス・ブラックの居い場ば所しょを」
ハリーの胃袋がひっくり返り、カップを持つ手が震ふるえて、受け皿がカタカタ鳴った。唇を閉じたまま、口元でカップを傾けたので、熱い液体えきたいが少しローブにこぼれた。
「知りません」答え方が少し早口すぎた。
“好吧——那就喝茶吧。”哈利耸耸肩膀说。乌姆里奇站起来,装模作样地背对着他加了些牛奶。然后她端着茶快步绕过桌子,脸上带着一种既阴险又亲切的笑容。“给,”她说着把茶递给哈利,“趁热喝了它,好吗?现在,波特先生——我觉得,在发生了昨晚那些不幸事件后,我们应该聊一聊。”哈利什么也没说。乌姆里奇回到自己的座位上等待着。沉默了好一阵后,她轻快地说:“你还没喝呢!”
“不。”哈利说。他又把茶杯举到唇边,假装呷了一口,可他的嘴唇紧紧地抿在了一起。乌姆里奇笑得更开心了。“很好,”她小声说,“太好了。那么——”她向前稍微倾了倾身子,“邓布利多在哪儿?”