ハリーは光景こうけいを満喫まんきつして、笑いながら頭を低くして駆かけ出した。ちょっと先の廊下ろうかに掛かかったタペストリーの裏うらに、隠れたドアがあることを知っていたのだ。滑すべり込むと、そこにフレッドとジョージが隠れていた。アンブリッジとフィルチが叫さけぶのを聞きながら、声を押し殺し、体を震ふるわせて笑いこけていた。
「すごいよ」ハリーはニヤッと笑いながら低い声で言った。「ほんとにすごい……君たちのせいで、ドクター・フィリバスターも商売上がったりだよ。間違いない……」
「ありがと」ジョージが笑いすぎて流れた涙を拭ふきながら小声で言った。「ああ、あいつが次は『消しょう失しつ呪じゅ文もん』を使ってくれるといいんだけどな……そのたびに花火が十倍に増えるんだ」
花火は燃え続け、その午後学校中に広がった。相当な被害ひがいを引き起こし、とくに爆竹ばくちくがひどかったが、先生方はあまり気にしていないようだった。
「おや、まあ」マクゴナガル先生は、自分の教室の周りにドラゴンが一匹舞まい上がり、バンバン大きな音を出したり火を吐はいたりするのを見て、茶化ちゃかすように言った。「ミス・ブラウン。校長先生のところに行って、教室に逃亡とうぼうした花火がいると報告ほうこくしてくれませんか」
結局のところ、アンブリッジ先生は校長として最初の日の午後を、学校中を飛び回って過ごした。先生方が、校長なしではなぜか自分の教室から花火を追い払えないと、校長を呼び出したからだ。最後の終業ベルが鳴り、みんながカバンを持ってグリフィンドール塔とうに帰る途と中ちゅう、ハリーは、フリットウィック先生の教室からよれよれになって出てくるアンブリッジを見た。髪かみ振り乱し、煤すすだらけで汗ばんだ顔のアンブリッジを見て、ハリーは大いに満足した。
「先生、どうもありがとう」フリットウィック先生の小さなキーキー声が聞こえた。「線香せんこう花火はもちろん私でも退治たいじできたのですが、なにしろ、そんな権限けんげんがあるかどうかはっきりわからなかったので」先生は、にっこり笑って、噛かみつきそうな顔のアンブリッジの鼻先で教室のドアを閉めた。
その夜のグリフィンドール談だん話わ室しつで、フレッドとジョージは英雄だった。ハーマイオニーでさえ、興こう奮ふんした生徒たちを掻かき分けて、二人におめでとうを言った。
“非常感谢你,教授!”弗立维教授用尖细的声音说,“当然了,我自己能够清除这些烟火棍,但是我不能肯定自己是否有这个权力。”他满脸笑容,当着脸上污七八糟的乌姆里奇的面关上了教室的门。那天晚上,在格兰芬多公共休息室里,弗雷德和乔治成了英雄。连赫敏都奋力挤过兴奋的人群去祝贺他们。