「いまに――見てろ」スネイプは喘あえぎながら、憎にくしみそのものという表情でジェームズを睨にらみつけた。「憶おぼえてろ」
「なにを」シリウスが冷たく言った。「何をするつもりなんだ スニベリー 僕たちに洟はなでもひっかけるつもりか」
スネイプは悪態あくたいと呪のろいを一いっ緒しょくたに次々と吐はきかけたが、杖つえが三メートルも離はなれていては何の効きき目もなかった。
「口が汚きたないぞ」ジェームズが冷たく言った。「スコージファイ 清めよ」
たちまち、スネイプの口から、ピンクのシャボン玉が吹き出した。泡あわで口が覆おおわれ、スネイプは吐き、咽むせた。
「やめなさい」
ジェームズとシリウスがあたりを見回した。ジェームズの空あいているほうの手が、すぐさま髪かみの毛に飛んだ。
湖の辺ほとりにいた女の子の一人だった。たっぷりとした濃こい赤毛が肩まで流れ、驚おどろくほど緑色の、アーモンド形の眼め――ハリーの眼だ。ハリーの母親だ。
「元気かい、エバンズ」ジェームズの声が突然、快活かいかつで、深く大人おとなびた調子になった。
「彼にかまわないで」リリーが言った。ジェームズを見る目が、徹てっ底てい的てきに大嫌いだと言っていた。「彼があなたに何をしたというの」
「そうだな」ジェームズはそのことを考えるような様子をした。「むしろ、こいつが存在するって事実そのものがね。わかるかな……」
取り巻いている学生の多くが笑った。シリウスもワームテールも笑った。しかし、本に没頭ぼっとうしているふりを続けているルーピンも、リリーも笑わなかった。
「冗じょう談だんのつもりでしょうけど」リリーが冷たく言った。「でも、ポッター、あなたはただの傲慢ごうまんで弱い者いじめの、いやなやつだわ。彼にかまわないで」
「エバンズ、僕とデートしてくれたら、やめるよ」ジェームズがすかさず言った。「どうだい……僕とデートしてくれれば、親愛しんあいなるスニベリーには二度と杖を上げないけどな」
ジェームズの背後で、「妨害ぼうがいの呪い」の効き目が切れてきたスネイプが、石鹸せっけんの泡を吐き出しながら、落とした杖のほうにじりじりと這はっていった。
「あなたか巨大イカのどちらかを選ぶことになっても、あなたとはデートしないわ」リリーが言った。
「残念だったな、プロングズ」シリウスは朗ほがらかにそう言うと、スネイプのほうを振り返った。「おッと」
“等什么呀?”小天狼星冷冷地说,“你想怎么样啊,鼻涕精,往我们身上蹭鼻涕吗?”一连串夹杂在一起的粗话和毒咒从斯内普嘴里冒了出来,但是他的魔杖在十英尺以外,所以什么事也没发生。
“给你洗干净嘴巴,”詹姆冷冰冰地说,“清理一新!”
斯内普的嘴巴里立刻吐出了粉红色的肥皂泡;他的嘴唇上粘满了泡沫,弄得他想呕吐,憋得他透不过气来——
“放开他!”詹姆和小天狼星扭头望去。詹姆空闲的那只手立即飞快地伸向自己的头发。那是一个从湖边走来的女生。她有一头浓密的深红色长发,一直垂到肩膀上,还有一双绿得出奇的杏眼——哈利的眼睛。