しかし、遅おそすぎた。スネイプは杖つえをまっすぐにジェームズに向けていた。閃光せんこうが走り、ジェームズの頬ほほがパックリ割れ、ローブに血が滴したたった。ジェームズがくるりと振ふり向いた。二度目の閃光が走り、スネイプは空中に逆さかさまに浮かんでいた。ローブが顔に覆おおいかぶさり、痩やせこけた青白い両りょう脚あしと、灰色に汚れたパンツが剥むき出しになった。
小さな群れをなしていた生徒たちの多くが囃はやし立てた。シリウス、ジェームズ、ワームテールの三人は大声で笑った。
リリーの怒った顔が、一いっ瞬しゅん笑い出しそうにピクピクしたが、「下ろしなさい」と言った。
「承しょう知ちしました」そう言うなり、ジェームズは杖をくいっと上に振った。スネイプは地面に落ちてくしゃくしゃっと丸まった。絡からまったローブから抜け出すと、スネイプは素早すばやく立ち上がって杖を構かまえた。しかし、シリウスが「ペトリフィカス トタルス 石になれ」と唱となえると、スネイプはまた転倒てんとうして、一枚板のように固くなった。
「彼にかまわないでって言ってるでしょう」リリーが叫さけんだ。いまやリリーは杖を取り出していた。ジェームズとシリウスが、油断ゆだんなく杖を見た。
「ああ、エバンズ、君に呪のろいをかけたくないんだ」ジェームズがまじめに言った。
「それなら、呪いを解ときなさい」
ジェームズは深いため息をつき、スネイプに向かって反対呪じゅ文もんを唱えた。
「ほーら」スネイプがやっと立ち上がると、ジェームズが言った。「スニベルス、エバンズが居い合あわせて、ラッキーだったな――」
「あんな汚らしい『穢けがれた血』の助けなんか、必要ない」
リリーは目を瞬しばたたいた。
「結構けっこうよ」リリーは冷静れいせいに言った。「これからは邪魔じゃましないわ。それに、スニベルス、パンツは洗濯せんたくしたほうがいいわね」
「エバンズに謝あやまれ」ジェームズがスネイプに向かって脅おどすように杖を突きつけ、吠ほえた。
「あなたからスネイプに謝れなんて言ってほしくないわ」リリーがジェームズのほうに向き直って叫んだ。「あなたもスネイプと同罪どうざいよ」
「えっ」ジェームズが素すっ頓とん狂きょうな声を上げた。「僕は一度も君のことを――何とかかんとかなんて」
「かっこよく見せようと思って、箒ほうきから降おりたばかりみたいに髪かみをくしゃくしゃにしたり、つまらないスニッチなんかで見せびらかしたり、呪いをうまくかけられるからといって、気に入らないと廊下ろうかで誰彼だれかれなく呪いをかけたり――そんな思い上がりで膨ふくらんだ頭を乗せて、よく箒が離陸りりくできるわね。あなたを見てると吐はき気がするわ」
リリーはくるりと背を向けて、足早に行ってしまった。
“哎,伊万斯,别逼着我对你施毒咒。”詹姆严肃地说。
“那就给他解开咒语!”
詹姆深深叹了口气,接着转身面对着斯内普,低声说出了破解咒。“你走吧,”他在斯内普挣扎着站起来时说,“算你走运,伊万斯在这里,鼻涕精——”