「ママからのイースターエッグよ」ジニーが言った。「あなたの分も一つ……はい」
ジニーが渡してくれたこぎれいなチョコレート製の卵たまごには、小さなスニッチの砂さ糖とう飾かざりがいくつもついていた。包み紙には、チョコの中にフィフィ・フィズビー一袋入りと表示してある。ハリーはしばらく卵チョコを眺ながめていた。すると、喉のどの奥から熱いものが込み上げてくるのを感じて狼狽ろうばいした。
「大だい丈じょう夫ぶ ハリー」ジニーがそっと聞いた。
「ああ、大丈夫」ハリーはガサガサ声で言った。喉に込み上げてきたものが痛かった。イースターエッグがなぜこんな気持にさせるのか、ハリーにはわからなかった。
「このごろとっても滅め入いってるみたいね」ジニーが踏ふみ込んで聞いた。「ねえ、とにかくチョウと話せば、きっと……」
「僕が話したいのはチョウじゃない」ハリーがぶっきらぼうに言った。
「じゃ、誰なの」ジニーが聞いた。
「僕……」
ハリーはさっとあたりを見回し、誰も聞いていないことを確かめた。マダム・ピンスは、数すう列れつ離はなれた本棚ほんだなのそばで、大わらわのハンナ・アボットが積み上げた本の山に貸出かしだし印いんを押していた。
「シリウスと話せたらいいんだけど」ハリーが呟つぶやいた。「でも、できないことはわかってる」
食べたいわけではなかったが、むしろ何かやることがほしくて、ハリーはイースターエッグの包みを開き、一欠ひとかけ大きく折って口に入れた。
「そうね」ジニーも卵たまご形がたのチョコレートを少し頬ほおばりながら、ゆっくり言った。「本気でシリウスと話したいなら、きっと何かやり方を考えられると思うわよ」
「まさか」ハリーはお手上げだという言い方をした。「アンブリッジが暖炉だんろを見張ってるし、手紙を全部読んでるのに」
「ジョージやフレッドと一いっ緒しょに育ってよかったと思うのは」ジニーが考え深げに言った。
「度ど胸きょうさえあれば何でもできるって、そんなふうに考えるようになるの」
ハリーはジニーを見つめた。チョコレートの効果こうかかもしれないが――ルーピンが、吸魂鬼ディメンターとの遭遇そうぐうのあとはチョコレートを食べるように、いつも勧すすめてくれたっけ――でなければ、この一週間、胸の中で悶々もんもんとしていた願いをやっと口にしたせいかもしれないが、ハリーは少し希望が持てるような気になってきた。
「あなたたち、なんてことをしてるんです」
「やばいっ」ジニーが呟きざまぴょんと立ち上がった。「忘れてた――」
マダム・ピンスが萎しなびた顔を怒りに歪ゆがめて、二人に襲おそいかかってきた。
「図書室でチョコレートなんて」マダム・ピンスが叫さけんだ。「出てけ――出てけ――出てけっ」
マダム・ピンスの杖つえが鳴り、ハリーの教科書、カバン、インク瓶びんが二人を追い立て、ハリーとジニーは頭をボンボン叩たたかれながら走った。
“你还好吗,哈利?”金妮轻轻地问道。
“是啊,我挺好的。”哈利声音粗哑地说。喉咙里哽得发疼。他不明白为什么一个复活节彩蛋会让自己产生这种感觉。
“你近来好像确实有些垂头丧气的,”金妮坚持说,“你知道,我能肯定,只要你和秋·张谈谈——”
“我不想和秋·张谈话。”哈利生硬无礼地说。
“那你想和谁谈?”金妮问道。
“我——”他向四周扫了一眼,好确定没有人在听他们讲话。平斯夫人在几个书架以外,正为表情紧张的汉娜·艾博借出的一堆书盖章。“我希望和小天狼星谈谈,”他低声说,“不过我知道自己办不到。”
哈利剥下复活节彩蛋的包装,掰下一大块放进嘴里,他倒不是很想吃彩蛋,主要是想给自己找点事情做。
“嗯,”金妮慢慢地说,自己也吃了一小块彩蛋,“要是你真想和小天狼星谈谈,我认为我们可以想出个办法来。”
“得了,”哈利说,“就在乌姆里奇监视着炉火、查阅我们所有的信件的时候?”
“弗雷德和乔治现在越来越相信,”金妮若有所思地说,“如果你胆量够大,你就会觉得任何事情都能办到。”
“哦,该死,”金妮小声说着跳了起来,“我忘了——”
平斯夫人正向他们猛扑过来,她那张满是皱纹的脸都气歪了。