差さし迫せまった試験しけんの重じゅう要よう性せいを強きょう調ちょうするかのように、イースター休きゅう暇かが終る少し前に、魔法界の職しょく業ぎょうを紹しょう介かいする小しょう冊さっ子しやチラシ、ビラなどが、グリフィンドール塔とうのテーブルに積み上げられるようになり、掲けい示じ板ばんにはまたまた新しいお知らせが貼はり出された。
進しん路ろ指し導どう
夏学期の最初の週に、五年生は全員、寮りょう監かんと短時間面接し、将しょう来らいの職業について相談すること。
個人面接の時間は左さ記きリストのとおり。
リストをたどると、ハリーは月曜の二時半にマクゴナガル先生の部屋に行くことになっていた。そうすると、「占うらない学がく」の授業はほとんど出られないことになる。ハリーも他の五年生たちも、休きゅう暇か最後の週末の大部分を、生徒たちが目を通すようにと寮りょうに置かれていた職しょく業ぎょう紹しょう介かい資し料りょうを読んで過ごした。
「まあね、癒い術じゅつはやりたくないな」休暇最後の夜、ロンが言った。骨と杖つえが交差こうさした紋もん章しょうがついた表紙の、聖せいマンゴのパンフレットに没頭ぼっとうしているところだった。「こんなことが書いてあるよ。いもり試験の、『魔ま法ほう薬やく学がく』、『薬やく草そう学がく』、『変へん身しん術じゅつ』、『呪じゅ文もん学がく』、『闇やみの魔ま術じゅつに対する防ぼう衛えい術じゅつ』で、少なくとも『・期待以上』を取る必要があるってさ。これって……おっどろき……期待度が低くていらっしゃるよな」
「でも、それって、とっても責任のある仕事じゃない」ハーマイオニーが上うわの空そらで答えた。ハーマイオニーが舐なめるように読んでいるのは、鮮あざやかなピンクとオレンジの小しょう冊さっ子しで、表題は、「あなたはマグル関係の仕事を考えていますね」だった。「マグルと連携れんけいしていくには、あんまりいろんな資格しかくは必要ないみたい。要求されているのは、マグル学のふくろうだけよ。『より大切なのは、あなたの熱意、忍耐にんたい、そして遊び心です』だって」
「僕のおじさんとかかわるには、遊び心だけでは足りないよ」ハリーが暗い声を出した。「むしろ、いつ身をかわすかの心だな」ハリーは、魔法銀行の小冊子を半分ほど読んだところだった。「これ聞いて。『やりがいのある職業を求めますか 旅行、冒険ぼうけん、危険が伴ともなう宝探しと、相そう当とう額がくの宝のボーナスはいかが それなら、グリンゴッツ魔法銀行への就しゅう職しょくを考えましょう。現在、『呪のろい破やぶり』を募ぼ集しゅう中ちゅう。海外でのぞくぞくするようなチャンスがあります……』でも、『数かず占うらない』が必要だ。ハーマイオニー、君ならできるよ」
「私、銀行にはあんまり興きょう味みないわ」ハーマイオニーが漠然ばくぜんと言った。こんどは別の小冊子に熱中している。「君はトロールをガードマンとして訓練する能力を持っているか」