「ポッター、一度だけチャンスをやろう」ベラトリックスが叫んだ。「予言を私に渡せ――いま、こっちに転がしてよこすんだ――そうすれば命だけは助けてやろう」
「それじゃ、僕を殺すしかない。予言はなくなったんだから」ハリーは吠ほえるように言った。そのとたん、額ひたいに激痛げきつうが走った。傷きず痕あとがまたしても焼けるように痛んだ。そして、自分自身の怒りとはまったく関連かんれんのない激はげしい怒りが込み上げてくるのを感じた。「それに、あいつは知っているぞ」ハリーはベラトリックスの狂ったような笑いに匹敵ひってきするほどの笑い声を上げた。「おまえの大切なヴォルデモート様は、予言がなくなってしまったことをご存知ぞんじだ。おまえのこともご満足はなさらないだろうな」
「なんだって どういうことだ」ベラトリックスの声が初めて怯おびえていた。
「ネビルを助けて石段を上ろうとしたとき、予言の球が砕くだけたんだ ヴォルデモートは果たして何と言うだろうな」
ハリーの傷痕がまたしても焼けるように痛んだ……痛みにハリーは目が潤うるんだ……。
「嘘うそつきめ」ベラトリックスが甲高かんだかく叫んだ。しかし、いまやその怒りの裏うらに、ハリーは恐きょう怖ふを聞き取っていた。「おまえは予言を持っているんだ、ポッター、それを私によこすのだ。『アクシオ 予言よ、来い アクシオ 予言よ、来い』」
ハリーはまた高笑いした。そうすればベラトリックスが激昂げっこうすることがわかっていたからだ。頭痛がだんだんひどくなり、頭ず蓋がい骨こつが破裂はれつするかとさえ思った。ハリーは片耳になった小鬼像の後ろから、空からっぽの手を振って見せ、ベラトリックスがまたもや緑みどりの閃光せんこうを飛ばしてよこしたとき素早すばやく手を引っ込めた。
「なんにもないぞ」ハリーが叫んだ。「呼び寄せる物なんかなんにもない 予言は砕けた。誰も予言を聞かなかった。おまえのご主人様にそう言え」
「違う」ベラトリックスが悲鳴ひめいを上げた。「嘘だ。おまえは嘘をついている ご主人様 私は努力しました。努力いたしました――どうぞ私を罰ばっしないでください――」
「言うだけむださ」ハリーが叫さけんだ。これまでにないほど激はげしくなった傷きず痕あとの痛みに、ハリーは目を閉じ、顔中をしかめた。「ここからじゃ、あいつには聞こえないぞ」
「そうかな ポッター」甲高かんだかい冷たい声が言った。
ハリーは目を開けた。
“骗人!”她尖叫着,但现在他从她的愤怒中听出了恐惧,“它在你的手上,波特,你会把它给我的!预言球飞来!预言球飞来!”
”不!“她仍在尖叫,”这不是真的,你在骗我!主人,我尽力了,我尽力了—— 不要责罚我—— “