「幸運を祈いのるよ、ハリー」
ダンブルドアはそう呟つぶやくと、靴くつの踵かかとでクルクルッと回転し、ヒュッというマントの音とともに消えた。
こぎれいに刈かり込まれたプリベット通りの生垣を、静かな風が波なみ立だたせた。墨すみを流したような夜空の下で、通りはどこまでも静かで整せい然ぜんとしていた。まか不ふ思し議ぎな出で来き事ごとが、ここで起こるとは誰も思ってもみなかったことだろう。赤ん坊は眠ったまま、毛布の中で寝ね返がえりを打った。片かた方ほうの小さな手が、脇わきに置かれた手紙を握った。自分が特別だなんて知らずに、有名だなんて知らずに、ハリー・ポッターは眠り続けている。数時間もすれば、ダーズリー夫人が戸を開あけ、ミルクの空あき瓶びんを外に出そうとしたとたん、悲ひ鳴めいをあげるだろう。その声でハリーは目が覚めるだろう。それから数週間は、いとこのダドリーに小こ突づかれ、つねられることになるだろうに……そんなことは何も知らずに、赤ん坊は眠り続けている……ハリーにはわかるはずもないが、こうして眠っているこの瞬間しゅんかんに、国中くにじゅうの人が、あちこちでこっそりと集まり、杯さかずきを挙あげ、ヒソヒソ声で、こう言っているのだ。
「生き残った男の子、ハリー・ポッターに乾かん杯ぱい」
“祝你好运,哈利。”他喃喃地说,噔地厢脚跟一转身,只听斗篷飕的一声,他已经消失得无影无踪了。
微风拂动着女贞路两旁整洁的树篱,街道在漆黑的天空下寂静无声,一尘不染,谁也不会想到这里会发生骇人听闻的事情。哈利波特在毯子包里翻了个身,但他并没有醒。他的一只小手正好放在那封信旁边。他还继续沉睡,一点不知道他很特殊,不知道他名气很大,不知道再过几小时,等德思礼太太开大门放奶瓶时,他会被她的尖叫声吵醒;更不会知道,在未来的几个星期,他表哥达力会对他连捅带戳,连掐带拧..他也不可能知道,就在此刻,全国人都在秘密聚会。人们高举酒杯悄声说:“祝福大难不死的孩子—— 哈利.波特!”