「しかし新車だ。ハリーを一人で中に残しておくわけにはいかん……」
ダドリーはワンワン泣き出した。嘘うそ泣なきだ。ここ何年も本当に泣いたことなんてないが、顔をゆがめてメソメソすれば、母親が欲ほしいものは何でもくれることを知っているのだ。
「ダッドちゃん、ダドリーちゃん、泣かないで。ママがついているわ。おまえの特別な日を、あいつなんかに台だい無なしにさせたりしやしないから」
おばさんはダドリーを抱きしめた。
「ぼく……いやだ……あいつが……く、く、くるなんて」
しゃくり上げるふりをしながらダドリーがわめいた。
「いつだって、あいつが、めちゃめちゃにするんだ」
抱きしめている母親の腕の隙すき間まから、ダドリーはハリーに向かって意い地じ悪わるくニヤリと笑った。ちょうどその時玄げん関かんのベルが鳴った。
「ああ、なんてことでしょう。みんなが来てしまったわ」
おばさんは大おお慌あわてだった。――やがてダドリーの一の子分、ピアーズ・ポルキスが母親に連れられて部屋に入ってきた。ねずみ顔のガリガリにやせた子だ。ダドリーが誰かを殴なぐる時に、腕うでを後ろにねじ上げる役をするのはたいていこの子だ。ダドリーはたちまち嘘泣きをやめた。
“那是辆新车,不能让他一个人待在车上..”
达力大哭起来。其实,他并没有真哭,他已经有好多年没有真的哭过了。他知道,只要他一哭丧着脸,嗷嗷地号叫,母亲就会满足他的任何要求。
“我的好心肝宝贝,别哭,妈妈不会让他搅乱你的好日子的!”她喊着,一下子把他搂到怀里。
“我..不.一想让..他..去..去!”达力一边抽抽搭搭地假哭.一边断断续续地大喊大叫。“他总是把什么都弄坏了!”他躲在母亲臂弯里不怀好意地朝哈利撇嘴一笑。
正在这时,门铃响了—— “哎呀,天哪,他们来了!”佩妮姨妈慌慌张张地说。过了一会儿,达力最要好的朋友皮尔波奇斯和他的母亲一起进来了。皮尔瘦骨嶙峋,脸像老鼠脸。像他这种人总是在达力打人的时候,把挨打人的双手反剪在背后,牢牢抓住。达力立刻不装哭了。