「ハリーはヘビと話してた。ハリー、そうだろ」
バーノンおじさんはまずピアーズを無ぶ事じ家から送り出すまで怒ど鳴なるのを我が慢まんし、それからハリーの処しょ分ぶんに取りかかった。怒いかりのあまり、おじさんは声も出なかった。やっとのことで
「行け――物もの置おき――出るな――食事抜き」
と言うと、椅い子すに倒れ込こんでしまった。おばさんは急いでおじさんに飲ませるブランデーの大おお瓶びんを取りに行った。
ハリーが暗い物置に入ってからだいぶ時間が経たった。時計が欲ほしいと思った。どのぐらい時間が経ったのかわからないし、ダーズリー一家が眠ってしまったかどうかもわからない。みんなが寝ね静しずまるまではキッチンでこっそり盗ぬすみ食ぐいをすることもできない。
ダーズリー一家と暮らしてほぼ十年が……思い出すかぎり惨みじめな十年が過ぎた。赤ん坊の時から、両親が自動車事じ故こで死んでからずっとだ。両親が死んだ時、自分が車の中にいたかどうかさえ思い出せない。時々、物置の中で長い時間を過ごしながら、一いっ所しょ懸けん命めい思い出をたぐっていると、不ふ思し議ぎな光こう景けいが見えてくることがあった。目の眩くらむような緑の閃せん光こうと焼けつくような額ひたいの痛みだ。緑の光がどこから出ているのかは想そう像ぞうがつかなかったが、ハリーはきっと、これが自動車事故なんだ、と思った。両親のことはまったく思い出せなかった。おじさんもおばさんも一度も話してくれないし、もちろん質問は禁きんじられていた。この家のどこにも両親の写真はなかった。
弗农姨父一直等到皮尔安全离开他们家之后才开始跟哈利算账。他气得几乎连话都说不出来了。他勉强说了一句:“去—— 碗柜—— 待着—— 不准吃饭。”就倒在扶手椅里了,佩妮姨妈连忙跑去给他端来一大杯白兰地。
哈利在黑洞洞的碗柜里躺了好久,一直盼望能有一块手表。他不知道现在是几点钟,而且也不能肯定德思礼一家是不是睡了。等他们睡了,他就可以冒险,偷偷溜到厨房去找点东西吃。
他还是个婴儿时,他的父母死于车祸。他记得,从那时起到现在,他已经在弗农姨父家生活了近十年了,那是十年苦难的生活。他已经不记得父母身亡时,他自己也在车上。有时躺在碗柜里长时间拼命回忆,会出现一种奇妙的幻象:一道耀眼的闪电般的绿光,前额上一阵火辣辣的疼痛。他猜想,这就是那场车祸,但他不知道那道绿光是从哪里来的。他一点也不记得他的父母了。姨父姨妈从来不提他们,当然,也不准他问。家里也没有他们的照片。。