「そーれ、着いたぞ、小こ僧ぞう。九番線と……ほれ、十番線だ。おまえのプラットホームはその中間らしいが、まだできてないようだな、え」
まさにそのとおりだった。「」と書いた大きな札が下さがったプラットホームの隣には、「10」と書いた大きな札が下がっている。そして、その間には、何もない。
「新学期をせいぜい楽しめよ」
バーノンおじさんはさっきよりもっとにんまりした。そしてさっさと、ものも言わずに行ってしまった。ハリーが振り向くと、ダーズリー親子が車で走り去るところだった。三人とも大笑いしている。ハリーは喉のどがカラカラになった。いったい自分は何をしようとしているのだろう ヘドウィグを連れているので、周まわりからはジロジロ見られるし……。誰かに尋たずねなければ……。
ハリーは、ちょうど通りかかった駅員を呼び止めて尋ねたが、さすがに九と四分の三番線とは言えなかった。駅員はホグワーツなんて聞いたことがないと言うし、どのへんにあるのかハリーが説明できないとわかると、わざといいかげんなことを言っているんじゃないかと、胡散うさん臭くさそうな顔をした。ハリーはいよいよ困り果てて、十一時に出る列車はないかと聞いてみたが、駅員はそんなものはないと答えた。とうとう駅員は、時間のムダ使いだとブツクサ言いながら行ってしまった。ハリーはパニックしないようにグッと堪こらえた。列車到着案内板の上にある大きな時計が、ホグワーツ行きの列車があと十分で出てしまうことを告げていた。それなのに、ハリーはどうしていいのかさっぱりわからない。駅のど真ん中で、一人では持ち上げられないようなトランクと、ポケットいっぱいの魔法使いのお金と、大きなふくろうを持って途と方ほうに暮くれるばかりだった。