「新入生じゃな。これから組くみ分わけされるところか」
太った修道士が一年生にほほえみかけた。二、三人が黙だまってうなずいた。
「ハッフルパフで会えるとよいな。わしはそこの卒業生じゃからの」と修道士が言った。
「さあ行きますよ」厳きびしい声がした。
「組分け儀ぎ式しきがまもなく始まります」
マクゴナガル先生が戻ってきたのだ。ゴーストが一人ずつ壁を抜けてフワフワ出ていった。
「さあ、一いち列れつになって。ついてきてください」マクゴナガル先生が言った。
足が鉛なまりになったように妙みょうに重かった。ハリーは黄おう土ど色いろの髪かみの少年の後ろに並び、ハリーの後あとにはロンが続いた。一年生は部屋を出て再び玄げん関かんホールに戻り、そこから二に重じゅう扉とびらを通って大おお広ひろ間まに入った。
そこには、ハリーが夢にも見たことのない、不思議ですばらしい光景が広がっていた。何千という蝋ろう燭そくが空中に浮かび、四つの長テーブルを照らしていた。テーブルには上級生たちが着席し、キラキラ輝かがやく金色の皿とゴブレットが置いてあった。広間の上かみ座ざにはもう一つ長テーブルがあって、先生方がたが座っていた。マクゴナガル先生は上座のテーブルのところまで一年生を引いん率そつし、上級生の方に顔を向け、先生方に背を向ける恰かっ好こうで一列に並ばせた。一年生を見つめる何百という顔が、蝋ろう燭そくのチラチラする明かりで青白い提ラン灯タンのように見えた。その中に点々と、ゴーストが銀色の霞かすみのように光っていた。みんなが見つめる視し線せんから逃のがれるように、ハリーが天井てんじょうを見上げると、ビロードのような黒い空に星が点々と光っていた。