怪かい物ぶつ犬けんはじっと立ったまま、その六つの目全部でハリーたちをじっと見ている。まだ四人の命があったのは、ハリーたちが急に現れたので怪物犬が不ふ意いを突つかれて戸と惑まどったからだ。もうその戸惑いも消えたらしい。雷かみなりのような唸うなり声が間違いなくそう言っている。
ハリーはドアの取っ手をまさぐった――フィルチか死か――フィルチの方がましだ。
四人はさっきとは反対方向に倒れ込んだ。ハリーはドアを後ろでバタンと閉め、みんな飛ぶようにさっき来た廊下を走った。フィルチの姿はない。急いで別の場所を探しにいっているらしい。そんなことはもうどうでもよかった――とにかくあの怪かい獣じゅう犬けんから少しでも遠くに離はなれたい一いっ心しんだ。駆かけに駆け続けて、やっと八階の太った婦人レディの肖しょう像ぞう画がまでたどり着いた。
「まあいったいどこに行ってたの」
ガウンは肩からズレ落ちそうだし、顔は紅潮こうちょうして汗だくだし、婦人レディはその様子を見て驚おどろいた。
「何でもないよ――豚の鼻ピッグスナウト、豚の鼻」
息も絶たえ絶だえにハリーがそう言うと、肖像画がパッと前に開いた。四人はやっとの思いで談だん話わ室しつに入り、ワナワナ震ふるえながら肘ひじ掛かけ椅い子すにへたり込んだ。口がきけるようになるまでにしばらくかかった。ネビルときたら二度と口がきけないんじゃないかとさえ思えた。
它一动不动地站在那里,六只眼睛都盯着他们。哈利知道,他们之所以还没有死,惟一的原因就是他们的突然出现使它大吃了一惊。但它正在迅速回过神来,那一声声震耳欲聋的咆哮意味着什么,是再清楚不过的了。
哈利摸索着去拧门把手—— 在费尔奇和死亡之间,他宁愿选择费尔奇。
他们一步步后退—— 哈利砰地把门关上。他们回到走廊里,撒腿就跑,简直是在飞奔。费尔奇一定忙着到别处去寻找他们了,他们没有看见他的踪影,何况也根本顾不上了—— 他们只想着尽可能远地逃离那个怪物。他们一直跑到八楼胖夫人的肖像前才停住脚步。
“你们都上哪儿去了?”胖夫人问道,看着他们耷拉在肩膀上的长袍,以及他们大汗淋漓的通红脸庞。
“别问啦—— ‘猪鼻子,猪鼻子’。”哈利喘着气说,肖像向前旋转着开了。他们跌跌撞撞地爬进公共休息室,浑身发抖地瘫倒在扶手椅里。