痛みに唸り声をあげながらトロールは棍棒をメチャメチャに振り回したが、ハリーは渾こん身しんの力でピッタリとしがみついていた。トロールはしがみついてるハリーを振り払おうともがき、いまにも棍棒でハリーに強烈きょうれつな一いち撃げきを食くらわしそうだった。
ハーマイオニーは恐ろしさのあまり床に座り込んでいる。ロンは自分の杖を取り出した――自分でも何をしようとしているのかわからずに、最初に頭に浮うかんだ呪じゅ文もんを唱となえた。
「ウィンガーディアム レヴィオーサ」
突とつ然ぜん棍こん棒ぼうがトロールの手から飛び出し、空中を高く高く上がって、ゆっくり一回転してからボクッといういやな音を立てて持もち主ぬしの頭の上に落ちた。トロールはふらふらしたかと思うと、ドサッと音を立ててその場にうつ伏ぶせに伸びてしまった。倒たおれた衝撃しょうげきが部屋中を揺ゆすぶった。
ハリーは立ち上がった。ブルブル震ふるえ、息も絶たえ絶だえだ。ロンはまだ杖つえを振り上げたまま突つっ立って、自分のやったことをぼーっと見ている。
ハーマイオニーがやっと口をきいた。
「これ……死んだの」
「いや、ノックアウトされただけだと思う」
ハリーは屈かがみ込こんで、トロールの鼻から自分の杖を引ひっ張ぱり出した。灰色の糊のりの塊かたまりのような物がベットリとついていた。
巨怪痛苦地吼叫起来,扭动着身子,连连挥舞手里的木棍,哈利死死地搂住它不放;巨怪随时都会把他甩下来,然后抓住他,用木棍给他可怕的一击。
赫敏吓呆了,扑通瘫倒在地板上;罗恩抽出自己的魔杖—— 他正不知道该怎么办呢,却听见自己喊出了脑子里想到的第一句咒语:“羽加迪姆勒维奥萨!”
木棍突然从巨怪手里飞出,高高地、高高地升向空中,又慢慢地转了个身—— 落下来,敲在它主人的头上,发出惊天动地的一声爆响。巨怪原地摇摆了一下,面朝下倒在地板上,轰隆一声,把整个房间都震得发抖。
哈利爬起身来。他浑身颤抖,气喘吁吁。罗恩站在那里,瞪眼看着自己所做的事情,魔杖还高高地举在手里。
最后是赫敏先开口说话了。
“它—— 死了吗?”
“我认为没有,”哈利说,“它大概只是被打昏了。”
他弯下腰,从巨怪的鼻子里拔出自己的魔杖,那上面沾着一大块一大块灰色的胶状物质。