ハリーには試験の日が近づいていることがかえってうれしかった。試験勉強に没ぼっ頭とうすることで、少しは惨みじめさを忘れることができた。ハリー、ロン、ハーマイオニーは三人とも、他の寮生りょうせいと離はなれて、夜遅くまで勉強した。複ふく雑ざつな薬の調合ちょうごうを覚えたり、妖よう精せいの魔法や呪のろいの魔法の呪じゅ文もんを暗記したり、魔法界の発見や小こ鬼おにの反乱の年号を覚えたり……。
試験を一週間後に控ひかえたある日、関係のないことにはもう絶ぜっ対たい首を突っ込まない、というハリーの決心が試ためされる事件が突とつ然ぜん持ち上がった。その日の午後、図書館から帰る途中とちゅう、教室から誰かのメソメソ声が聞こえてきた。近寄ってみるとクィレルの声がした。
「ダメです……ダメ……もうどうぞお許しを……」
誰かに脅おどされているようだった。ハリーはさらに近づいてみた。
「わかりました……わかりましたよ……」
クィレルのすすり泣くような声が聞こえる。
次の瞬間しゅんかん、クィレルが曲がったターバンを直しながら、教室から急ぎ足で出てきた。蒼そう白はくな顔をして、いまにも泣き出しそうだ。足早に行ってしまったので、ハリーにはまるで気づかなかったようだ。クィレルの足音が聞こえなくなるのを待って、ハリーは教室をのぞいた。誰もいない。だが、反対側のドアが少し開あいたままになっていた。かかわり合いにならないという決心を思い出した時には、もうハリーはその開いてたドアに向かっていた。
哈利简直很高兴快要考试了。他必须埋头复习,这就使他暂时忘却了烦恼。他、罗恩和赫敏三个人总是单独在一起,每天复习到深夜,努力记住复杂的魔药配方,记住那些魔法和咒语,记住重大魔术发明和妖精叛乱的日期..然而,就在考试前的一个星期,哈利不再多管闲事的决心受到了一次意外的考验。那天下午,他独自一个人从图书馆出来,听见有入在前面的教室里抽抽搭搭地哭泣。他走近几步,听出是奇洛的声音。
“不行—— 不行—— 不能再于了,求求你—— ”
听上去似乎有人在威胁他。哈利再走近几步。
“好吧—— 好吧—— ”他听见奇洛在抽泣。
接着,奇洛匆匆走出教室,一边整理着他的围巾。他脸色苍白,好像快要哭出声来似的,大步地走出了哈利的视线。哈利觉得奇洛根本就没有注意到自己。他一直等到奇洛的脚步声昕不见了,才朝教室里望去。里面空无一人,但另一边的那扇门开了一道缝。哈利正要走过去,突然想起他对自己的保证,再也不能多管闲事了。