「ハグリッド 見て、赤い火花よ。ネビルたちに何かあったんだわ」
「二人ともここで待ってろ。この小道から外はずれるなよ。すぐ戻ってくるからな」
ハグリッドが下した草くさをバッサバッサとなぎ倒し、ガサゴソと遠とお退のいていく音を聞きながら、二人は顔を見合わせていた。恐こわかった。とうとう二人の周まわりの木の葉がカサコソと擦すれ合う音しか聞こえなくなった。
「あの人たち、怪け我がしたりしてないわよね」ハーマイオニーが囁ささやく。
「マルフォイがどうなったってかまわないけど、ネビルに何かあったら……もともとネビルは僕たちのせいでここに来ることになってしまったんだから」
何分経たったろう。時間が長く感じられる。聴覚ちょうかくがいつもより研とぎ澄すまされているようだ。ハリーにはどんな風のそよぎも、どんな細い小枝の折おれる音も聞こえるような気がした。何があったんだろう むこうの組はどこにいるんだろう やっとバリバリというものすごい音が聞こえ、ハグリッドが戻ってきた。マルフォイ、ネビル、ファングを引き連れている。ハグリッドはカンカンに怒っている。どうやらマルフォイが、こっそりネビルの後ろに回ってつかみかかるという悪ふざけをしたらしい。ネビルがパニックに陥おちいって火花を打ち上げたのだ。
「おまえたち二人がバカ騒ぎしてくれたおかげで、もう捕つかまるものも捕まらんかもしれん。よーし、組くみ分わけを変えよう……ネビル、俺おれと来るんだ。ハーマイオニーも。ハリーはファングとこの愚おろかもんと一いっ緒しょだ」
ハグリッドはハリーだけにこっそり耳打ちした。
「すまんな。おまえさんならこやつもそう簡単には脅おどせまい。とにかく仕事をやりおおせてしまわないとな」