ハリーはクィレルの方に歩いていった。
嘘うそをつかなくてはハリーは必死に考えた鏡に何が見えても、嘘を言えばいい。
クィレルがハリーのすぐ後ろに回った。変な匂においがした。クィレルのターバンから出る匂いらしい。ハリーは目を閉とじて鏡の前に立ち、そこで目を開あけた。
青白く脅おびえた自分の姿が目に入った。次の瞬間しゅんかん、鏡の中のハリーが笑いかけた。鏡の中のハリーがポケットに手を突っ込み、血のように赤い石を取り出した。そしてウインクをするとまたその石をポケットに入れた。すると、そのとたん、ハリーは自分のポケットの中に何か重い物が落ちるのを感じた。なぜか――信じられないことに――ハリーは『石』を手に入れてしまった。
「どうだ」クィレルが待ちきれずに聞いた。「何が見える」
ハリーは勇気を奮ふるい起こした。
「僕がダンブルドアと握あく手しゅをしているのが見える」
作り話だ。
「僕……僕のおかげでグリフィンドールが寮杯りょうはいを獲かく得とくしたんだ」
「そこをどけ」クィレルがまた罵ののしった。
ハリーは「賢けん者じゃの石」が脚あしに触ふれているのを感じた。思いきって逃げ出そうか しかし、ほんの五歩も歩かないうちに、クィレルが唇くちびるを動かしていないのに高い声が響ひびいた。
“我必须对他撒谎,”他不顾一切地想,“我必须先照照镜子,然后编出一套谎话来骗他,就这么做。”
奇洛凑到他的身后。哈利闻到一股奇怪的气味,似乎是从奇洛头上的围巾里发出来的。他闭上眼睛,站到魔镜前面,随即把眼睛睁开了。
他看见了镜子里的自己,一开始脸色苍白,神情惶恐,可是片刻之后,便露出了笑容。镜子里的哈利把手伸进口袋,掏出一块鲜红的石头,然后眨眨眼睛,又把石头放进了口袋—— 就在这时,哈利觉得有一件重重的东西真的落进了自己的口袋。真是不可思议—— 他居然就这样得到了魔法石。
“怎么样?”奇洛不耐烦地问,“你看到了什么?”
哈利鼓起勇气。
“我看见自己在跟邓布利多握手,”他胡乱编造地说,“我一我为格兰芬多赢得了学院杯冠军。”
奇洛又开始骂骂咧咧。
“你给我走开。”他说。哈利退到一边时,感觉到魔法石就贴在他的大腿上。他敢不敢现在就带着它逃走?但他刚走了不到五步,就听见一个尖厉的嗓音说话了,而奇洛的嘴唇根本没有动。