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第十五章  大崩壊 一(2)

时间: 2023-12-29    进入日语论坛
核心提示:「はあ、はあ、それで?」「そうすると金曜日の夕方こちらへ現れて、ダリヤの間から消えた片腕の男とは、いったいだれだったんで
(单词翻译:双击或拖选)

「はあ、はあ、それで……?」

「そうすると金曜日の夕方こちらへ現れて、ダリヤの間から消えた片腕の男とは、いった

いだれだったんでしょうねえ」

「それはもちろん譲治でしょう」

 金田一耕助はこともなげに、

「むろんそれはお糸さんの差し金だったでしょうがねえ」

「あの混血児が……?」

 井川刑事が目玉をひんむくのを見て、

「井川さん、タマ子はひどい近眼だったし、それに真野信也なる人物は、ほとんど口をき

かなかったという。譲治にはそういう悪戯いたずらがおもしろかったんじゃないでしょう

か」

「それじゃこの名琅荘の周辺に、ときどき姿を現すという片腕の怪人というのも……?」

「それもやっぱり譲治でしょう。少なくともあの男がここへ引き取られてからの片腕の怪

人はね」

「つまりあのばあさんはそうすることによって古館氏に、精神的拷問を加えようとしてい

たということですか」

「おそらくそうでしょう。お糸さんの古館氏にたいする憎しみや復ふく讐しゆう心しん

は、井川さんのあの一件にたいする執念より、さらにさらに深刻なものがあったでしょう

からね」

 あの哀れな無縁塚を思いうかべると、ふたりとも金田一耕助の説に賛成せざるをえな

かった。

「しかし、金曜日の夕方片腕の怪人らしき人物を点出しておいて、あのばあさんいったい

なにを企たくらんでいたんでしょうねえ」

「土曜日に辰人氏がやってくる。ひとつハッタリをかけておいてやろうというわけです

か」

「まあ、その程度だったんでしょうね。まさかそれからひいてこのような、大惨劇が起こ

ろうとまでは予測しなかったろうと思いますよ」

「それじゃきのう、いやもうおとといになるが、われわれが抜け穴を探検したとき現れ

た、あの片腕の怪人というのも……?」

「もちろん譲治でしょう。あの男はここからあの地下道へ抜ける道をしっていた。しかも

モグラの穴から地下道へ抜ける出口は、鼠ねずみの陥おとし穽あなよりダリヤの間のほう

によったところにあったじゃありませんか」

「しかし、譲治のやつなんだって、われわれを愚弄するようなまねをやりやあがったんで

す」

 金田一耕助は微笑して、

「それはおふたりさん、いや、主として井川さん、あなたのせいじゃないんですか」

「と、おっしゃると……?」

「あなたはあの仕込み杖がだれのものであるかを知られてから、篠崎さんにたいして深い

疑惑を示された。譲治にとってはすわ親分の一大事とばかりに、片腕の怪人なる人物が実

在するのであるぞよということを、われわれに見せつけておこうとしたんでしょうな。と

ころがあにはからんや」

「あにはからんやとおっしゃると……?」

 金田一耕助はそこで浴場の一件を語ってきかせると、

「われわれがあの地下道にいるあいだの、篠崎さんのアリバイがなかった。そこであの怪

人は篠崎さんだったかもしれないとほのめかしてやると、さあ、譲治め、おこったのなん

のって。わたしはそのとき譲治の篠崎さんにたいする傾倒ぶりをしったんですが、あのお

糸さんなんかもそうですね。あのばあさんもう少し若ければ篠崎さんを口く説どいてます

ぜ。あっはっは。篠崎さんというひとはああいういっぷう変わった連中には、ひどく魅力

があるとみえますね」

 跛をひいている井川刑事をいたわって、金田一耕助と田原警部補はゆっくりと夢の雪渓

を歩いていく。三人はいまやっと蟻ありの門と渡わたりまでたどりついていた。

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