日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 江户川乱步 » 虎牙 » 正文

虎牙-恐怖的牙齿

时间: 2021-11-07    进入日语论坛
核心提示:恐怖の歯がた このなんとも説明のできない、ふしぎな事件があってから二日目のことです。千代田区の明智探偵事務所の奥まった一
(单词翻译:双击或拖选)

恐怖の歯がた


 このなんとも説明のできない、ふしぎな事件があってから二日目のことです。千代田区の明智探偵事務所の奥まった一室で、ベッドに横になったままの明智探偵と、助手の小林少年とが、何か熱心に話しあっていました。
 明智探偵は、ながいあいだ病気で寝ていましたが、きょうはすこし気分がいいと言うので、ひさしぶりで、小林君をベッドのそばへ呼んだのです。小林君はいままで、先生の病気にさわってはいけないと思って、事件のことは何も言わないのですが、きょうは、先生のほうからたずねられたのと、それに、どうしてもほうっておけないようなおそろしいことが、新しく、おこっていましたので、魔法博士の一件を、すっかり先生にお話しました。
「先生、あいつは、ぼくたちみんなを、ねらっているんです。花田君だけじゃないんです。石川君と田村君と、それから、ぼくをねらっているんです。」
「うん、たぶん、そうだろうね。何かそんなまえぶれでもあったのかい。」
 明智探偵の青ざめた顔には、うす黒くひげがのびています。頭の毛はいつもよりもっとモジャモジャです。でも、目だけは人の心の奥を、つらぬくような光をたたえていました。
「ええ、おそろしいことがあるんです。うちの裏庭の土のやわらかいところに、何か大きなけだものの足あとがついています。ゆうべ、そいつが塀の中へはいって来たしるしです。」
「大きなけだものというと?」
「虎です。ネコの足あとを十倍も大きくしたようなやつが、五つものこっています。キヨはそれを見て、けさからまっさおになって、ふるえあがっているんです。」
 キヨというのは、明智の家の女中の名です。
「塀をのりこえたんだね。」
「そうです。あいつはどんなことだって、できるんです。魔法博士の虎にきまっています。先生、そればかりじゃありません。裏口のドアの横の柱に、おそろしいささくれの傷ができているんです。天野勇一君のうちのマツの木にのこっていたのとソックリです。八幡さまの社殿の柱にのこっていたのとソックリです。虎の歯がたです。」
「魔法博士の虎が、東京の町の中を、ノコノコ歩いて来たというわけだね。それを、だれも気づかなかったというわけだね。」
 明智探偵の口のへんに、ひにくな笑いが浮かびました。
「先生、あいつは、ゆうべ、ここへ来ただけじゃありません。石川君のうちへも、田村君のうちへも、あらわれたのです。ふたりのうちにも、おなじような歯がたと足あとがのこっていたのです。つい、いましがた、ふたりがやって来て、それを知らせて行きました。先生、ぼくたちはどうすればいいのでしょう。」
「警視庁の中村係長は知っているだろうね。」
「電話で知らせておきました。田村君と石川君のうちへは、こんやから見はりをつけると言うことでした。でも、あいては魔法使いですから、見はりぐらいでは安心できません。」
「うん、魔法使いという点では、おどろくべきやつだ。こんなけたはずれな犯罪は、どこの国にも例がないだろうね。」
「先生、ぼくにも、あいつが舞台でやったブラック・マジックまではわかるのです。でも、そのあとのことは、何もかも、まるでわかりません。あの赤レンガの洋館から天野勇一君や、白くぬった広間や、サンタクロースのおじいさんや、それから、虎のはいった檻までも、たった一時間のあいだに、かき消すように、見えなくなってしまったなんて、まるで夢のような話です。先生、奇術の力で、こんなことができるのでしょうか。」
「それは、できないことはない。しかし、奇術には種がある。よくそんな種が、手にはいったものだと、ぼくはつくづく感心しているんだよ。」
「えッ、それじゃあ先生には、おわかりなんですか。勇一君なんかの消えた訳が、おわかりなんですか。」
「おおかた、想像がついているよ。いまにきみにもわかる。きっとわかる時がくる。それからね、きみは、まだすこしも気づいていないようだが、もっと大切なことがあるんだよ。」
 明智探偵はニッコリ笑って「もっとこちらへ。」というあいずをしました。小林君が、その意味をさっして、リンゴのような(ほお)を、ベッドの上の先生の顔のそばへもって行きますと、明智は、その耳たぶに口をよせて、何かささやきました。
 それを聞くと、小林君の目がびっくりするほど大きく見ひらかれ、サッと顔の色がかわりました。
「えッ、先生、それは、ほんとうですか。」
「うん、ぼくには、だいたいけんとうがついているんだ。しかし、これはいましばらく、だれにも言っちゃいけないよ。警察にも、少年探偵団のみんなにも、知らせてはいけない。ぼくと、きみとふたりだけの秘密にしておこう。」
 先生と弟子とは、そのまま、ジッと顔を見あわせていました。目と目とが、何かしきりに語りあい、やがて明智の口のへんに、ニコニコした笑いのしわがきざまれ、小林少年の頬には、もとのリンゴの色がもどって、それが、いっそうさえざえと、かがやいてくるのでした。

轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: