日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 江户川乱步 » 虎牙 » 正文

虎牙-魔镜

时间: 2021-11-07    进入日语论坛
核心提示:魔法の鏡 さて、明智探偵がつれさられた、その同じ夜のこと、怪屋にとじこめられている、小林少年のほうには、また、べつのふし
(单词翻译:双击或拖选)

魔法の鏡


 さて、明智探偵がつれさられた、その同じ夜のこと、怪屋にとじこめられている、小林少年のほうには、また、べつのふしぎがおこっていました。
 その夜、あの牢屋のような部屋で、夕食をたべたあとで、小林君はりっぱな洋室へうつされました。魔法博士ではなく、ボーイの服を着た男が、案内したのです。そして、「ここで、しばらくやすんでいらっしゃい。いまにおもしろいことが、はじまるからね。」と言って、ニヤニヤ笑いながら、立ちさりました。むろん、ドアには、外からかぎがかけられたのです。
 小林君は、大きなアーム・チェアに腰をおろして、ゆっくり部屋の中を見まわしました。じつにりっぱな部屋です。外国映画に出てくる古い貴族の家にあるような、ドッシリとおちついた部屋です。それに、ふしぎなことは、四方のかべに大小さまざまの鏡が、はめこみになっていて、まるで、鏡の部屋とでもいうような感じなのです。
 天井から、すずらんの花をたばにしたような、古風なシャンデリヤがさがっていましたが、それが四方の鏡にうつってチカチカ光って、まるで宝石をちりばめた部屋に入れられたようです。
 それにしても、さっき、ボーイ服を着た男が、「いまにおもしろいことが、はじまるからね。」と言ったのは、いったい何を意味するのでしょうか。どこにおもしろいことがおこるのでしょうか。
 部屋の中はシーンとしずまりかえって、なんだかおそろしくなるほどです。あの虎はどこにいるのでしょう。いまごろは、また、ドアの外の廊下を、目を光らせてノソノソ歩いているのではないでしょうか。ふと気がつくと、どこかで、コト、コトとかすかな物音がしました。その音のするほうに目をやっても、何もありません。ただ、かべにはめこんだ、大きな鏡が、つめたくチカチカと光っているばかりです。
 また、コト、コトと音がしました。どうもその大鏡のへんから、ひびいてくるようです。
 小林君は、思わず立ちあがって、鏡の前に近づきました。そこには、シャンデリヤの光を、うしろにして、小林君自身の姿が、大きくうつっているばかりでした。
 ところが、その自分の姿を、ジッと見ていますと、ふしぎなことがおこったのです。鏡にうつっている小林君の姿が、スーッと消えるように、うすくなっていくではありませんか。
 びっくりして、見つめているうちに、だんだん、うすくなっていく自分の姿に、かさなるようにして、べつの少年の姿が、あらわれてきました。しかも、ひとりではありません。三人の少年が、おたがいに、からだをすりよせるようにして、立っている姿です。
 小林君は思わず、「アッ。」と声を立てました。その三人は、よく知っている少年たちだったからです。花田君、石川君、田村君、読者もごぞんじの少年探偵団の幹部です。
 いったい、この三少年が、どうして大鏡にうつっているのでしょう。そして、小林君の姿が消えてしまったのでしょう。三少年をてらしている光は、シャンデリヤよりも、ずっと明かるいようです。まるで、ガラス窓から、向こうの明かるい部屋を、のぞいているような感じです。映画やテレビではありません。たしかに五メートルほど向こうに、三人の少年が立っているのです。
 小林君は、ふと、あることを思いだしました。いつか科学博物館で、こういう鏡を見たことがあります。それはこんな大きなものではなくて、やっと顔がうつるぐらいの小さい鏡でしたが、かべを、そこだけくりぬいて、ガラスがはめてあり、どちらがわから見ても、ふつうの鏡のように見えるのですが、こちらの部屋をくらくし、向こうの部屋を明かるくすると、ガラスがすきとおって、いままでうつっていた自分の顔が消え、向こうの部屋の中がハッキリ見えるのです。
 小林君は、あのしかけにちがいないと思いました。ですから小林君のほうからは見えるけれども、三人の少年のほうからは、小林君の姿は見えないのです。もし見えれば、向こうでも、びっくりするでしょうが、そんなようすはすこしもありません。
 向こうの部屋は、かざりも何もない、まるで牢屋のようなきたない部屋です。三人の少年は、あきらかに、魔法博士のために、かんきんされているのです。いつのまに、つれてこられたのでしょう。
 小林君が紙しばいのじいさんにおびきよせられたような、何かそれとにたやり方でつれてこられたのかもしれません。それとも、もっとおそろしい方法でゆうかいされたのかもしれません。
 声をかけようとしても、厚いガラスにへだてられているので、どうすることもできません。少年たちは、小林団長がここにいることを、すこしも知らないのです。
 すると、そのとき、鏡の一方のはじに、チラッと黄色いものがあらわれました。なにかゾッとするような、黄色と黒のだんだらぞめのものです。
 虎の首です。金色に光った目が、少年たちを見つめています。むろん、首だけではありません。やがて、肩が見え、足が見え、猛虎の全身があらわれたのです。
 小林君は、ハッと、息をのんだまま、身うごきもできなくなりました。
 虎は、三人の少年に向かって、まっかな口をガッとひらきました。いまにも飛びかかろうとしているのです。
 小林君は、目がクラクラッとして、目の前がスーッと暗くなるような気がしました。すると、おそろしい虎の顔も、三人の少年の姿も、もやにへだてられたように、消えていきました。
 ハッと気がついたときには、前にあるのは、ふつうの鏡で、そこに小林君自身の青ざめた顔が、うつっているばかりです。
 なんだかおそろしい夢でも見たような気持ちでした。小林君は魔法博士の催眠術にかかって、ありもしないものを見たのでしょうか、いやそうではありません。三人の少年は、たしかに鏡の向こうがわにいたのです。そして、そこへ一ぴきの猛虎がはいって来たのです。
 ああ、少年たちは、いったいどうなったのでしょうか。いまごろは猛虎のために、むごたらしいめにあっているのではないでしょうか。
 小林君は、もう、ジッとしていられなくなりました。ガラスをやぶって、向こうの部屋へ飛びこんで行こうか。しかし、なんの武器も持たないで、猛虎とたたかう決心はつきません。では、ドアをやぶって、廊下に出て、助けをもとめるか。しかし、この建物の中には味方はひとりもいないのです。
 とつおいつ、しあんにくれていますと、またしても、どこからか、コツ、コツという物音が、聞こえてきました。
 小林君は、キョロキョロと、部屋の中を見まわしていましたが、やがて、反対がわの鏡のほうへ、かけよりました。音がそのへんから、おこっていたからです。
 それは、さっきの半分ほどの大きさの鏡でしたが、小林君が、かけよったかと思うと、もう、そのガラスに異変がおこっていました。こちらの顔はうつらないで、向こうの明かるい部屋がすいて見えるのです。
 その部屋は、小林君のいる部屋とおなじぐらい、りっぱなかざりがしてありました。ただ、ちがっているのは、そこは寝室らしく、部屋のまん中に、大きなベッドがおいてあることでした。
 ベッドの向こうがわに、ドアが見えていましたが、そのドアが、スーッとひらいて、ひとりの警官の姿があらわれました。
「アッ、警官がぼくたちを助けに来てくれたのか。」と、小林君はいまにも、声をたてそうになりましたが、じきに、そうでないことがわかりました。
 その警官のうしろに、もうひとりの警官がいて、ふたりでなにか毛布にくるんだ、大きなものを、はこんで来たのです。
 警官たちは、その毛布にくるんだものを、ベッドの上にのせて、毛布をときはじめました。すると、その中から、ひとりの人間があらわれてきたではありませんか。グッタリと死んだようになっている人間のからだです。
 小林君は、またしても、「アッ。」と声をたてないではいられませんでした。そのグッタリとなった人の顔は、明智先生だったからです。明智先生が殺されたのではないかと思ったからです。
 明智先生はパジャマのまま、毛布につつまれて、ベッドの上に横たえられたのです。そして、ふたりの警官はドアの外へ、たちさってしまいました。
「先生は死んでいるのだろうか。いや、そうじゃない。胸がかすかに動いている。アッ、そうだ。きっと麻酔薬でねむらされているんだ。」
 小林君は、すばやく頭をはたらかせて、そこまで考えると、いくらか安心しましたが、先生のそばへかけつけることもできず、自分がここにいるのを知らせることもできないのを、ひじょうに、もどかしく思いました。
「それにしても、どうして警官が先生をつれて来たんだろう。警官が魔法博士の味方になるなんて、へんだなあ。ああ、わかった。魔法博士のてしたの悪ものが、警官に変装したんだ。そして、先生をゆだんさせておいて、こんなめにあわせたんだ。」
 小林君は、魔法博士の、そこのしれない悪だくみに、あきれてしまいました。明智先生を助けるために、どうすればいいんだか、とっさに名案も浮かびません。
 すると、そのとき、にわかに部屋の中が、パッと明かるくなりました。いままで、うすぐらかったシャンデリヤが、まぶしいほど、まっ白にかがやきだしたのです。それと同時に、鏡の中の明智先生の姿が、ボヤッとうすれていって、何も見えなくなってしまいました。
「ワハハハハ……、どうだね、小林君。」
 とつぜん、どこともしれず、びっくりするような声が聞こえてきました。
 小林君は、キョロキョロと部屋の中を見まわしましたが、どこにも人間の姿はありません。声は空中からひびいてくるのです。

轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: