日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 江户川乱步 » 虎牙 » 正文

虎牙-密室之谜

时间: 2021-11-10    进入日语论坛
核心提示:密室のなぞ 鉄ばしごは五メートルほどでおわり、足がコンクリートのゆかにつきました。懐中電灯で見ると、そこからまた、トンネ
(单词翻译:双击或拖选)


密室のなぞ


 鉄ばしごは五メートルほどでおわり、足がコンクリートのゆかにつきました。懐中電灯で見ると、そこからまた、トンネルのような長い道がつづいています。むろん、ここは地下道です。トンネルのかべはコンクリートでかためてあります。
 ほかに道はないのですから、怪人はこのトンネルの中へ、はいって行ったのに、ちがいありません。明智と三人の警官とは、手に手に懐中電灯をふりてらしながら、そこを、奥へ奥へとすすんで行きました。
 十メートルほど向こうを、怪人の走って行く姿が、ボンヤリ見えています。しかし、懐中電灯の光をたよりに、足もとに気をつけながら、すすむのですから、なかなか、あいてに追いつくことができません。
 そのうちに、フッと怪人の姿が、見えなくなりました。どうしたのかと思って、走って行くと、ここはトンネルのまがりかどでした。怪人がそのかどを、まがったために、見えなくなったのです。
 明智探偵たちも、つづいてかどをまがりました。そして、二、三歩すすんだ時、とつぜん、明智はアッと声をたてて、ふみとどまりました。
「あぶないッ。また、おとし穴だッ。」
 懐中電灯でてらしてみると、すぐ目の前に、はば三メートルほどの、道いっぱいの穴が、口をひらいていました。
 怪人はここをどうして通りすぎたのでしょう。かべをつたって、わたるような、足がかりは、なにもありません。のぞいてみると、下は底しれぬ、くらやみです。それでいて、怪人はその穴の向こうを、走って行く姿が、おぼろげに見えています。いったいどうして、このはばの広い穴をこしたのでしょう。
「ア、わかった。穴にわたしてあった板を、あいつが、取りのけたんだ。」
 明智の懐中電灯の光で、その板がてらしだされました。穴の上に橋のように、かけてあった板を、怪人は向こうがわへ、引きあげ、追手がわたれないようにして、逃げたのです。
「よしッ、ぼくがこの穴を飛びこそう。そして、板をもとのように、かければいいんだ。」
 明智探偵は、少年時代からスポーツできたえたからだです。病気をしたといっても、あとの半分はにせやまいだったのですから、三メートルぐらいの幅飛びは、なんでもありません。穴のふちから、数十歩あともどりして、パッとかけだしたかと思うと、ヒラリと穴を飛びこしてしまいました。
 そして、そこにあった長い板を、もちあげ、一度立てておいて、そのはじを、警官たちのほうへ、サーッと倒してよこす。こちらでは、ひとりの警官が、うまくそれをうけて、すばやく板の橋をかけることができました。
 三人の警官はその板をわたって、明智といっしょになり、それからまた、懐中電灯をふりてらして、トンネルの中をすすむのです。
 そんなことで、てまどったので、あいては遠くへ逃げてしまったのではないかと、心配しましたが、見ると、怪人はまだ電灯の光のとどくあたりを、フラフラと歩いています。逃げられるのを、わざと逃げないで、こちらをからかっているような、あんばいなのです。
 いそいで、そのほうへ近づいて行きますと、トンネルの枝道になっているところに、さしかかりました。この地下道は一本道ではなくて、どこかへわかれているのです。しかし、怪人は枝道のほうへは、まがらず、まっすぐ歩いて行きます。
 やがて、向こうにポーッと、うすい光が見えてきました。どうやら、トンネルのつきあたりに、部屋のようになったところがあるらしく、その部屋の中に、うすぐらい電灯がついているようです。
 怪人はマントをヒラヒラさせながら、その光の中へはいりました。やっぱり、こちらをからかっているのか、まるで、よっぱらいのような、フラフラした歩きかたです。その姿が部屋の中の電灯をうけて、ふしぎな影絵のように、ゆらめいていましたが、やがて、ひらいたままのドアの中へ、ヨロヨロとはいったかと思うと、ドアがギーッと音をたてて、しまりました。そして、あたりは、またもとのくらやみになってしまったのです。
「ソレッ。」というので、四人はそこへかけつけ、ドアをひらこうとしましたが、中からかぎをかけたのか、ビクとも動きません。そこで、警官たちが、かわりがわり、たいあたりで、ドアにぶっつかり、見るまに、それをやぶって、中にふみこんで行きました。
 そこは五、六坪のコンクリートの部屋でした。天井もかべもゆかも、すっかりコンクリートでぬりかためた、なんのかざりもなく、イス一つない牢屋のような部屋です。入り口のほかには、ドアもなく、また窓もありません。どこにも逃げだす個所のない、ふくろのような部屋です。
 ところが、どうでしょう。その、まったく逃げ場のない部屋の中に、いまのさき、はいったばかりの怪人は、もう影さえ見えなかったではありませんか。そこには、人間はおろか、ネズミ一ぴきも、いなかったのです。魔法博士の二十面相は、煙のように消えうせてしまったのです。
 警官たちは、持っていた警棒で、ゆかをたたきまわり、四方のかべをたたきまわり、ひとりの警官が、べつの警官の肩にのって、天井までも、たたきまわったのですが、ぜんぶ完全なコンクリートで、秘密戸のようなものはひとつもないことが、たしかめられました。
 地下室のことですから、空気ぬきの四角な穴が、一方のかべの上と下と二ヵ所に、あいていましたが、それは十センチ四方ほどの小さな穴で、そんなところから、人間がぬけだせるはずもありません。
 ひょっとしたら、怪人はこの部屋にはいると見せかけて、じつは、はいらなかったのではないか。そして、トンネルのどこかに、秘密戸でもあって、そこから逃げてしまったのではないか。そう考えたので、明智探偵はドアの外に出て、トンネルのかべを、じゅうぶん、しらべましたが、すこしもうたがわしい個所はないのでした。
「明智さん、こりゃ完全な密室じゃありませんか。」
 警官のうちの警部補の服を着たひとりが、おどろいたような顔で言いました。この警部補は、まえにべつの事件で明智といっしょに働いたことがあって、顔見知りのあいだがらでした。
「密室です。かりに、あいつがこの部屋へはいらなかったとしても、逃げる場所がありません。トンネルに枝道があったけれども、あいつがこのドアに近づいた時には、ぼくたちは枝道を通りすぎていた。だから、あいつはトンネルの中で、ぼくらのわきをすりぬけて逃げたとでも、考えるほかはないが、そんなことは、ぜったいにできっこありませんからね。」
『密室』というのは、探偵小説にはよくでてくることばです。どこにも逃げ道のない、密閉された(しつ)で犯罪がおこなわれ、しかも、その部屋に犯人の姿が見えないという、ふしぎな事件を『密室の犯罪』と言うのです。
 さすがは魔法博士の二十面相、さいごのどたんばになって、みごとな魔術をつかったものです。「名探偵さん、きみにはこの密室のなぞがとけますかね。」と言わぬばかりではありませんか。
 もしこのなぞが明智探偵にとけなかったら、怪人との知恵くらべにまけたことになります。明智はぜがひでも、これをとかねばなりません。
 さて、読者諸君、みなさんも一つ、名探偵といっしょに、このなぞをといてみてはいかがですか。ちょっとしたことに、気がつけば、なんなくとけるはずです。しかし、いままで書いたほかに、このなぞをとく手がかりが、もう一つだけあります。それは、次の章で明智探偵の言ったり、したりすることを、よく気をつけていれば、わかるのです。どうか読みおとさないようにしてください。そして、このなぞをといてみてください。

轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: