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魔法布偶-真正的怪老人

时间: 2021-12-18    进入日语论坛
核心提示:怪老人の正体 それからまた、部長刑事と怪老人の問答がつづきました。 小林君は、甲野さんから、ルミちゃんの事件は、警察に知
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怪老人の正体


 それからまた、部長刑事と怪老人の問答がつづきました。
 小林君は、甲野さんから、ルミちゃんの事件は、警察に知らせないようにといわれていましたが、もうこうなったら、かくすわけにはいきません。中村警部にすっかり話してしまいました。杉並署の署長や部長刑事も、中村警部からそれを聞いて、なにもかも知っているのです。
「きみは、赤堀鉄州という人形師だね。」
 部長刑事が、怪老人をにらみつけてたずねました。
「そうだよ。おれはおばけ人形をつくる名人だよ。」
「赤坂の甲野光雄という金持ちを、知っているだろう?」
「ふうん、聞いたような名だが、べつに知りあいではないね。」
「まだしらばっくれているな。きみは、その甲野さんのむすめの、ルミちゃんという、かわいい女の子を、さらっただろう。」
「さらった? おれがかね。」
「そうだよ。そして、ルミちゃんとそっくりの人形を木の箱に入れて、甲野さんの家へ、運送屋にとどけさせただろう。」
 それを聞くと、赤堀老人は、びっくりしたように目をむきました。
「とんでもない、おれは、そんなこと、まるで知らないよ。」
「だが、こちらには、ちゃんと証人があるんだぜ。木の宮運送店の店員だ。その店員は、たしかに赤堀鉄州という人形師にたのまれて、木箱をはこんだといっている。」
「それじゃあ、その店員にあわせてもらいたいもんだね。顔を見れば、おれか、おれでないか、すぐにわかることだ。」
 老人のびっくりしたようすが、真にせまっていて、どうも芝居らしくないので、中村警部と署長は、いぶかしげに顔を見あわせました。
「それじゃ、木の宮の店員を呼びだすことにしよう。そのあいだに、ルミちゃんの事件を、このじいさんに話してやりたまえ。」
 署長が部長刑事に命じました。そして、ひとりの刑事が運送店へ出かけていくのでした。部長刑事は、公園でルミちゃんがさらわれたことから、電話で一千万円の身のしろ金をゆすってきたこと、運送屋がルミちゃん人形をとどけたこと、小林少年が、運送屋から赤堀老人の西洋館をききだして、女の子に変装して、そこへしのびこんだことなどを、すっかり話してきかせました。
「うーん、そういうわけだったのですか。それで、女の子がよろいびつにかくれていたわけがわかりましたよ。そうとは知らぬものですから、あんなひどいめにあわせてごめんなさいよ、小林君。」
 老人はにわかに、ていねいなことばになって、そこに立っている小林少年に、すまないという顔をして見せるのでした。
「いや。そればかりじゃない。手足をしばられて、焼け死ぬばかりになっていたわしを、きみが、火事場から救いだしてくれたのですね。どうもすまんことをしました。かんべんしてください。まったくどろぼうだと思いこんでいたので、ああして、よろいびつに閉じこめて、あとで警察へひきわたすつもりだったのです。きみ、どうか、かんべんしてくださいよ。」
 そういって、いかにもはずかしそうにしているのを見ると、アトリエでろうそくの光をうけて、恐ろしい悪人にみえた顔が、みょうにおどけた、こっけいな感じにかわってきました。
 小林君は、なんだか老人がかわいそうになりましたが、どうしても、たしかめたいことがあったので、それをたずねてみました。
「そういえば、ぼくにも、ふにおちないことがあるんですよ。アトリエが火事になったとき、あんたは、よいつぶれたまま(なわ)でしばられていた。ぼくは、よろいびつの中にいたので、だれがしばったかわからないのです。まさかじぶんで、じぶんをしばったわけではないでしょう。だれがしばったのか思いだせませんか。」
 すると、老人は頭をかいて、
「じつにだらしのない話だが、わしは、なにもおぼえていないのです。寝ている間に、だれかにしばられてしまったのです。」
といったまま、考えこんでしまいました。
 そのとき、さっき出ていった刑事が、木の宮運送店の店員をつれてはいってきました。
「きみにあの木箱の配達をたのんだのは、この人ではないかね。」
 部長刑事が、店員を老人の前に呼んでたずねました。
「ちがいます。やっぱり白いひげをはやしていましたが、この人とはちがいます。」
 店員は、一目見て、きっぱりといいきりました。
「だが、赤堀鉄州という人形師は、この人だよ。きみの店へ配達をたのんだのも、赤堀鉄州だったね。」
「そうです。名まえはそうでしたが、そのときの人は、この人じゃありません。」
 これで、赤堀老人のうたがいがはれたわけです。
「待ってくださいよ。これには、なにか深いわけがありそうですよ。」
 老人は、しきりに首をふりながら、ゆっくりしゃべりはじめました。
「まあ、聞いてください。そのルミちゃんとかの人形を送ったのは、むろん、わしではありません。そいつは、わしの名まえをかたったのです。そして犯人はこのわしだと思いこませておいて、ほんとうのことがわからないうちに、わしを焼き殺そうとしたのです。
 そいつは、わしがよいつぶれていたのをさいわいに、身うごきができぬようにしばっておいて、アトリエに火をつけたのです。そうだ。それにちがいない。そうして、わしが焼け死んでしまえば、死人に口なしで、わしが犯人だったということになって、じぶんには、うたがいがかからない。ちくしょうめ、うまく考えやがったな。」
「待ちたまえ。犯人は、あすの晩、身のしろ金を、甲野さんのところへ取りにくるといっているんだぜ。いま犯人が死んだことになれば、身のしろ金が取れないじゃないか。」
 部長刑事が、よこやりを入れました。
「うーん。それもそうだが、そこにはまた、べつのてがあるかもしれん。ルミちゃんという女の子はまだ発見されていないのだから、その子をだいじにかくしておいて、すこし日がたってから、さもじぶんがみつけたような顔をして、甲野さんのところへつれていくというてもある。そのじぶんには、きっと懸賞金がついていますよ。一千万円というわけにはいくまいが、そうとうの金をせしめることができる。どうです、この考えは?
 いや、ルミちゃんさえかくしておけば、ほかにまだ、いろいろなやりかたがあります。犯人と思いこまれたわしが死んでしまって、ルミちゃんのかくし場所がわからないとなると、これはたいへんなさわぎになりますよ。そこで、真犯人のほうでも、いろいろなてが考えだせるというものです。」
 老人は、とくいらしく、しゃべりつづけるのでした。
「すると、きみが白ひげをはやした人形師で、真犯人とよく似ていたので、かえだまにつかわれたというわけだね。とすれば、同じ人形師のなかまのことだから、きみには、その真犯人の心あたりがありそうだね。きみとよく似た人形師といえば、いったいだれだろうね。」
 部長刑事がたずねますと、赤堀老人は首をふって、
「ところが、そういう心あたりは、まったくないのです。じつにふしぎですよ。しかし、わしも、そいつに焼き殺されかけたのですから、なんとしても、かたきがうちたい……。ねえ、小林君。わしをひとつ、明智先生に紹介してくださらんか。わしは先生に弟子入りしますよ。そうして、警察と力をあわせて、真犯人をさがしだします。きっと、さがしだしてお目にかける。ねえ、小林君、どうかわしを先生にひきあわせてください。」
 老人は、しんけんになって小林少年にたのむのでした。

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