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こころ(上) 先生と私(35)

时间: 2017-10-28    进入日语论坛
核心提示:三十五 私(わたくし)は立て掛けた腰をまたおろして、話の区切りの付くまで二人の相手になっていた。「君はどう思います」と先生
(单词翻译:双击或拖选)
三十五
 
 私(わたくし)は立て掛けた腰をまたおろして、話の区切りの付くまで二人の相手になっていた。
「君はどう思います」と先生が聞いた。
 先生が先へ死ぬか、奥さんが早く亡くなるか、固(もと)より私に判断のつくべき問題ではなかった。私はただ笑っていた。
「寿命は分りませんね。私にも」
「こればかりは本当に寿命ですからね。生れた時にちゃんと極(きま)った年数をもらって来るんだから仕方がないわ。先生のお父(とう)さんやお母さんなんか、ほとんど同(おんな)じよ、あなた、亡くなったのが」
「亡くなられた日がですか」
「まさか日まで同じじゃないけれども。でもまあ同じよ。だって続いて亡くなっちまったんですもの」
 この知識は私にとって新しいものであった。私は不思議に思った。
「どうしてそう一度に死なれたんですか」
 奥さんは私の問いに答えようとした。先生はそれを遮(さえぎ)った。
「そんな話はお止(よ)しよ。つまらないから」
 先生は手に持った団扇(うちわ)をわざとばたばたいわせた。そうしてまた奥さんを顧みた。
「静(しず)、おれが死んだらこの家(うち)をお前にやろう」
 奥さんは笑い出した。
「ついでに地面も下さいよ」
「地面は他(ひと)のものだから仕方がない。その代りおれの持ってるものは皆(みん)なお前にやるよ」
「どうも有難う。けれども横文字の本なんか貰(もら)っても仕様がないわね」
「古本屋に売るさ」
「売ればいくらぐらいになって」
 先生はいくらともいわなかった。けれども先生の話は、容易に自分の死という遠い問題を離れなかった。そうしてその死は必ず奥さんの前に起るものと仮定されていた。奥さんも最初のうちは、わざとたわいのない受け答えをしているらしく見えた。それがいつの間にか、感傷的な女の心を重苦しくした。
「おれが死んだら、おれが死んだらって、まあ何遍(なんべん)おっしゃるの。後生(ごしょう)だからもう好(い)い加減にして、おれが死んだらは止(よ)して頂戴(ちょうだい)。縁喜(えんぎ)でもない。あなたが死んだら、何でもあなたの思い通りにして上げるから、それで好いじゃありませんか」
 先生は庭の方を向いて笑った。しかしそれぎり奥さんの厭(いや)がる事をいわなくなった。私もあまり長くなるので、すぐ席を立った。先生と奥さんは玄関まで送って出た。
「ご病人をお大事(だいじ)に」と奥さんがいった。
「また九月に」と先生がいった。
 私は挨拶(あいさつ)をして格子(こうし)の外へ足を踏み出した。玄関と門の間にあるこんもりした木犀(もくせい)の一株(ひとかぶ)が、私の行手(ゆくて)を塞(ふさ)ぐように、夜陰(やいん)のうちに枝を張っていた。私は二、三歩動き出しながら、黒ずんだ葉に被(おお)われているその梢(こずえ)を見て、来たるべき秋の花と香を想(おも)い浮べた。私は先生の宅(うち)とこの木犀とを、以前から心のうちで、離す事のできないもののように、いっしょに記憶していた。私が偶然その樹(き)の前に立って、再びこの宅の玄関を跨(また)ぐべき次の秋に思いを馳(は)せた時、今まで格子の間から射(さ)していた玄関の電燈がふっと消えた。先生夫婦はそれぎり奥へはいったらしかった。私は一人暗い表へ出た。
 私はすぐ下宿へは戻らなかった。国へ帰る前に調(ととの)える買物もあったし、ご馳走(ちそう)を詰めた胃袋にくつろぎを与える必要もあったので、ただ賑(にぎ)やかな町の方へ歩いて行った。町はまだ宵の口であった。用事もなさそうな男女(なんにょ)がぞろぞろ動く中に、私は今日私といっしょに卒業したなにがしに会った。彼は私を無理やりにある酒場(バー)へ連れ込んだ。私はそこで麦酒(ビール)の泡のような彼の気(きえん)を聞かされた。私の下宿へ帰ったのは十二時過ぎであった。
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