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こころ(中) 両親と私(01)

时间: 2017-10-28    进入日语论坛
核心提示:一 宅(うち)へ帰って案外に思ったのは、父の元気がこの前見た時と大して変っていない事であった。「ああ帰ったかい。そうか、そ
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 宅(うち)へ帰って案外に思ったのは、父の元気がこの前見た時と大して変っていない事であった。
「ああ帰ったかい。そうか、それでも卒業ができてまあ結構だった。ちょっとお待ち、今顔を洗って来るから」
 父は庭へ出て何かしていたところであった。古い麦藁帽(むぎわらぼう)の後ろへ、日除(ひよけ)のために括(くく)り付けた薄汚(うすぎた)ないハンケチをひらひらさせながら、井戸のある裏手の方へ廻(まわ)って行った。
 学校を卒業するのを普通の人間として当然のように考えていた私(わたくし)は、それを予期以上に喜んでくれる父の前に恐縮した。
「卒業ができてまあ結構だ」
 父はこの言葉を何遍(なんべん)も繰り返した。私は心のうちでこの父の喜びと、卒業式のあった晩先生の家(うち)の食卓で、「お目出とう」といわれた時の先生の顔付(かおつき)とを比較した。私には口で祝ってくれながら、腹の底でけなしている先生の方が、それほどにもないものを珍しそうに嬉(うれ)しがる父よりも、かえって高尚に見えた。私はしまいに父の無知から出る田舎臭(いなかくさ)いところに不快を感じ出した。
「大学ぐらい卒業したって、それほど結構でもありません。卒業するものは毎年何百人だってあります」
 私はついにこんな口の利(き)きようをした。すると父が変な顔をした。
「何も卒業したから結構とばかりいうんじゃない。そりゃ卒業は結構に違いないが、おれのいうのはもう少し意味があるんだ。それがお前に解(わか)っていてくれさえすれば、……」
 私は父からその後(あと)を聞こうとした。父は話したくなさそうであったが、とうとうこういった。
「つまり、おれが結構という事になるのさ。おれはお前の知ってる通りの病気だろう。去年の冬お前に会った時、ことによるともう三月(みつき)か四月(よつき)ぐらいなものだろうと思っていたのさ。それがどういう仕合(しあわ)せか、今日までこうしている。起居(たちい)に不自由なくこうしている。そこへお前が卒業してくれた。だから嬉(うれ)しいのさ。せっかく丹精(たんせい)した息子が、自分のいなくなった後(あと)で卒業してくれるよりも、丈夫なうちに学校を出てくれる方が親の身になれば嬉(うれ)しいだろうじゃないか。大きな考えをもっているお前から見たら、高(たか)が大学を卒業したぐらいで、結構だ結構だといわれるのは余り面白くもないだろう。しかしおれの方から見てご覧、立場が少し違っているよ。つまり卒業はお前に取ってより、このおれに取って結構なんだ。解ったかい」
 私は一言(いちごん)もなかった。詫(あや)まる以上に恐縮して俯向(うつむ)いていた。父は平気なうちに自分の死を覚悟していたものとみえる。しかも私の卒業する前に死ぬだろうと思い定めていたとみえる。その卒業が父の心にどのくらい響くかも考えずにいた私は全く愚(おろ)かものであった。私は鞄(かばん)の中から卒業証書を取り出して、それを大事そうに父と母に見せた。証書は何かに圧(お)し潰(つぶ)されて、元の形を失っていた。父はそれを鄭寧(ていねい)に伸(の)した。
「こんなものは巻いたなり手に持って来るものだ」
「中に心(しん)でも入れると好(よ)かったのに」と母も傍(かたわら)から注意した。
 父はしばらくそれを眺(なが)めた後(あと)、起(た)って床(とこ)の間の所へ行って、誰(だれ)の目にもすぐはいるような正面へ証書を置いた。いつもの私ならすぐ何とかいうはずであったが、その時の私はまるで平生(へいぜい)と違っていた。父や母に対して少しも逆らう気が起らなかった。私はだまって父の為(な)すがままに任せておいた。一旦(いったん)癖のついた鳥(とり)の子紙(こがみ)の証書は、なかなか父の自由にならなかった。適当な位置に置かれるや否(いな)や、すぐ己(おの)れに自然な勢(いきお)いを得て倒れようとした。
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