日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 夏目漱石 » 正文

こころ(下) 先生と遺書(01)

时间: 2017-10-28    进入日语论坛
核心提示:一「私(わたくし)はこの夏あなたから二、三度手紙を受け取りました。東京で相当の地位を得たいから宜(よろ)しく頼むと書いてあっ
(单词翻译:双击或拖选)
 
「……私(わたくし)はこの夏あなたから二、三度手紙を受け取りました。東京で相当の地位を得たいから宜(よろ)しく頼むと書いてあったのは、たしか二度目に手に入(い)ったものと記憶しています。私はそれを読んだ時何(なん)とかしたいと思ったのです。少なくとも返事を上げなければ済まんとは考えたのです。しかし自白すると、私はあなたの依頼に対して、まるで努力をしなかったのです。ご承知の通り、交際区域の狭いというよりも、世の中にたった一人で暮しているといった方が適切なくらいの私には、そういう努力をあえてする余地が全くないのです。しかしそれは問題ではありません。実をいうと、私はこの自分をどうすれば好(い)いのかと思い煩(わずら)っていたところなのです。このまま人間の中に取り残されたミイラのように存在して行こうか、それとも……その時分の私は「それとも」という言葉を心のうちで繰り返すたびにぞっとしました。馳足(かけあし)で絶壁の端(はじ)まで来て、急に底の見えない谷を覗(のぞ)き込んだ人のように。私は卑怯(ひきょう)でした。そうして多くの卑怯な人と同じ程度において煩悶(はんもん)したのです。遺憾(いかん)ながら、その時の私には、あなたというものがほとんど存在していなかったといっても誇張ではありません。一歩進めていうと、あなたの地位、あなたの糊口(ここう)の資(し)、そんなものは私にとってまるで無意味なのでした。どうでも構わなかったのです。私はそれどころの騒ぎでなかったのです。私は状差(じょうさし)へあなたの手紙を差したなり、依然として腕組をして考え込んでいました。宅(うち)に相応の財産があるものが、何を苦しんで、卒業するかしないのに、地位地位といって藻掻(もが)き廻(まわ)るのか。私はむしろ苦々(にがにが)しい気分で、遠くにいるあなたにこんな一瞥(いちべつ)を与えただけでした。私は返事を上げなければ済まないあなたに対して、言訳(いいわけ)のためにこんな事を打ち明けるのです。あなたを怒らすためにわざと無躾(ぶしつけ)な言葉を弄(ろう)するのではありません。私の本意は後(あと)をご覧になればよく解(わか)る事と信じます。とにかく私は何とか挨拶(あいさつ)すべきところを黙っていたのですから、私はこの怠慢の罪をあなたの前に謝したいと思います。
 その後(ご)私はあなたに電報を打ちました。有体(ありてい)にいえば、あの時私はちょっとあなたに会いたかったのです。それからあなたの希望通り私の過去をあなたのために物語りたかったのです。あなたは返電を掛(か)けて、今東京へは出られないと断って来ましたが、私は失望して永らくあの電報を眺(なが)めていました。あなたも電報だけでは気が済まなかったとみえて、また後から長い手紙を寄こしてくれたので、あなたの出京(しゅっきょう)できない事情がよく解(わか)りました。私はあなたを失礼な男だとも何とも思う訳がありません。あなたの大事なお父さんの病気をそっち退(の)けにして、何であなたが宅(うち)を空(あ)けられるものですか。そのお父さんの生死(しょうし)を忘れているような私の態度こそ不都合です。――私は実際あの電報を打つ時に、あなたのお父さんの事を忘れていたのです。そのくせあなたが東京にいる頃(ころ)には、難症(なんしょう)だからよく注意しなくってはいけないと、あれほど忠告したのは私ですのに。私はこういう矛盾な人間なのです。あるいは私の脳髄(のうずい)よりも、私の過去が私を圧迫する結果こんな矛盾な人間に私を変化させるのかも知れません。私はこの点においても充分私の我(が)を認めています。あなたに許してもらわなくてはなりません。
 あなたの手紙、――あなたから来た最後の手紙――を読んだ時、私は悪い事をしたと思いました。それでその意味の返事を出そうかと考えて、筆を執(と)りかけましたが、一行も書かずに已(や)めました。どうせ書くなら、この手紙を書いて上げたかったから、そうしてこの手紙を書くにはまだ時機が少し早過ぎたから、已めにしたのです。私がただ来るに及ばないという簡単な電報を再び打ったのは、それがためです。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(1)
50%
踩一下
(1)
50%